きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となった。この日発表になった米経済指標でインフレ鈍化傾向が続いていることが示されたことがドルを圧迫している。この日は7月の米個人所得・支出のデータと伴にPECデフレータも発表になっていた。FRBがインフレの参考指標として重視しているデータだが、食品・エネルギーを除いたコア指数は前月比では上昇していたものの、前年比では1.4%と鈍化傾向が続いている。ただ、予想範囲内ではあった。
なかなか、FRBの目標である2%に向かって反転を見せない中、CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは、年内もう1回の利上げ確率は30%台まで下げている。
しかし、利上げの可能性が全く無くなったと判断するのは時期尚早であろう。このところの消費や生産の指標は上半期からは改善を兆しも見せており、雇用も力強い内容が続いている。FRBが現状はあくまで正常化の過程と判断し、インフレが1.4%程度で推移するようであれば、利上げができないこともないとは思われる。
ドル円はNY時間に入って米国債利回りの下げと伴に売りが強まり110円を割り込んでいる。きょうは月末でロンドン・フィキシングでの実需売りも観測された中、ムニューシン米財務長官が「ドル安は米貿易にとっては若干有利」との発言も加わって、売りを加速させた。
一方、ユーロドルは1.19台を回復。きょうは8月のユーロ圏消費者物価速報値が発表され、総合指数こそ予想を上回っていたもののコア指数は前年比1.2%と前月並みに留まっている。
一部報道で、ECB当局者の間ではユーロ高への懸念が強まっており、来年にも始まると見られている資産購入のペース縮小は予想以上に小幅なものとなると報じられていた。
きょうのコア指数はそれを裏付ける内容とも取れるが、直近のユーロ高に関するECBの対応については、来週のECB理事会を巡って思惑が錯綜している。
特にドラギ総裁の会見は注目となろう。今週はユーロドルで一時1.20台まで上昇したが、その水準はECBも意識している水準とも言われている。ドラギ総裁は会見でユーロ高を直接けん制してくるとの見方がある一方で、これまで通りユーロ高はユーロ圏経済への信頼感の表れとの言及に留まるとの見方も出ている。
今回の理事会は政策自体は据え置きで、資産購入のペース縮小の表明は10月の理事会になるもの思われるが、ドラギ総裁の会見について見方様々といったところのようだ。
いよいよ明日は8月の米雇用統計の発表が予定されている。ただ、8月の非農業部門雇用者数(NFP)は過去6年はいずれの年も予想を下回っていた。季調済のデータなので夏休みシーズンとはあまり関係ないとは思われるが、一応アノマリーとして留意はしておきたい。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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