きょうのNY為替市場は後半にかけドル買いが優勢になった。きょうは北朝鮮問題への警戒も一服しており、米株や米国債利回りも上昇する中、ドルも買い戻しの流れが出ている。ただ、フィッシャーFRB副議長の辞表提出が伝わると売りが強まる場面も見られた。個人的な理由としているが、副議長の最近の発言からは、トランプ政権が推し進めている銀行の規制緩和に苦言を呈しており、その不満が背景ではとの憶測も流れていたようだ。
一方で、副議長が辞任したからといってFOMCの金利の見通しに大きな変化が出るとまでは見ている向きも少ない。副議長のこれまでの言動を振り返ると、イエレン議長に同調した動きが多々見られ、その意味では最近はややタカ派だったとも言える。
なお、フィッシャー副議長が辞任ということになると、FRB理事は定員7名のうち空席が4席に増え過半が空席となる。
ドル円も109円ちょうど付近から108.75付近まで値を落としたが、午後になってトランプ大統領と米議会がハリケーン「ハービー」救済への歳出と債務上限引き上げを抱き合わせる暫定措置で合意したと伝わった。12月15日までの暫定措置。債務上限引き上げ問題がひとまずクリアしたことから今度はドルはポジティブな反応を示した。
ドル円も買い戻しが強まり109.35付近まで上昇。8月31日から本日安値までの下げのフィボナッチ38.2%戻しの水準でもあり、次の上値ターゲットは50%戻しの109.55付近が意識される。本日の21日線もその付近に控えている。
一方、ユーロドルは底堅い動きも見せ、一時1.1950付近まで上昇。その後、債務上限の抱き合わせ合意で1.19台前半に値を落としたものの、1.19台はしっかりと維持されている。明日のECB理事会待ちの雰囲気が強い。
なお、瞬間的にユーロ売りが強まる場面が見られた。一部報道でECBは量的緩和に関して、10月26日まで決定に至る公算が小さいと伝えたことに敏感に反応していたようだ。また、スタッフ見通しの草案では2018~19年のインフレ見通しは小幅に下方修正されるとも伝えていた。ただ、直ぐに戻す動き。もともと明日のECB理事会では何も決まらないと見られている。
きょうはカナダドルが急伸。カナダ中銀が予想外の利上げを発表したことでカナダドルが急上昇した。市場の利上げ期待は高かったが、前回利上げを実施したばかりだったことから、今回は見送られると見られていた。エコノミストの事前予想でも利上げ予想は2割程度だった。カナダ円は一時89.80近辺まで一気に200ポイント急伸する場面も見られた。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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