きょうのNY為替市場は後半になってドルの買戻しが膨らんでいる。前半はドル売りが優勢となった。明日の演説を控えたトランプ大統領の発言が伝わっており、税制については医療保険のコスト判明までは税制計画は不可能だと言及している。明日は税制改革については具体策は出ないのではとの見方も出たようだ。
また、国防費の540億ドル増額を要求する一方で、非国防費の540億ドル減額を要求しており、予算は赤字を拡大させない方針も米政府から伝わっていた。財政刺激策としてはやや物足りないのではとの見方も出たのかもしれない。
ただ、後半になってドルは急速に買い戻されている。トランプ大統領は、インフラ投資は大きく(Big!)拡大とも述べており、それへの期待感が強まったようだ。
また、3月FOMCでの利上げ確率が今週に入って上昇してきており、CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは33%、ブルームバーグがOIS(翌日物金利スワップ)から算出しているもので58%と、伴に先週から大きく上昇している。きょうはカプラン・ダラス連銀総裁の発言が伝わっており、近い将来での利上げの可能性に言及していた。
今週は1日に1月のPCEデフレータが発表され、また、3日金曜日にはイエレンFRB議長の講演が予定されている。FOMCメンバーが金融政策に関して踏み込んだ発言を控えなければならないブラックアウト期間が3月4日(土)から設定されており、次回FOMCまでのFOMCメンバーの発言は今週までとなる。
ドル円は前半に一時111円台まで下落する場面が見られた。ただ、111円台では買い圧力も根強い中、後半になって買戻しが強まっている。112.50付近のストップを巻き込んで112円台後半まで上昇。米国債利回りが上げ幅を拡大したことや、米株が利益確定売りに押されながらも底堅い推移を見せていたこともドル円をサポートしたようだ。
目先は113円ちょうど付近に21日線が来ており、回復できるか注目される。
一方、ユーロドルは上に往って来いの展開。一時1.0630近辺まで上昇したものの、後半になって1.05台に戻す動きとなった。
週末にメイ首相がEU離脱後に実施されることを条件に、スコットランド独立の住民投票に合意する可能性があるとの報道が伝わり、東京時間からポンドは売りが強まっていた。ただ、NY時間に入るとその下げを取り戻す展開となった。後半になると伸び悩んだものの、スコットランドに関するポンドの下値不安は一服していたようだ。
スコットランド独立の2回目の住民投票については先週にも観測が伝わっていたが、これについて英政府の報道官は、メイ首相は独立投票をすべきでないことを明確にしていると述べていた。きょうから英上院は、メイ首相がEU離脱交渉を開始することを認める法案の審議を開始する。そのような中、混乱の火種がまた一つ増えた格好。ただ、市場はいまのところ、冷静に受け止めているようだ。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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