【NY市場】手掛かり材料なく小幅な値動き インフレ統計待ち

 きょうのNY為替市場は小幅な値動きに終始した。ドル円は110円台後半での値動きが続き、NY時間に入ってからのレンジは20銭程度に収まっている。きょうは主要な米経済指標の発表もない中、先週末の強い米雇用統計の流れを引継ぎ、ドル売りが一服している。

 先週の米雇用統計で市場は9月FOMCでのバランスシート縮小開始についてはより可能性を高めているようだ。今月下旬に米ワイオミング州のジャクソンホールでFRBのシンポジウムが開催されイエレンFRB議長も参加の予定だが、そこでバランスシート縮小開始を強調してくる可能性も予想される。

 ただ、市場が注目している年内利上げについては市場の見方は分かれており、CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは12月利上げの確率は半々といった水準での推移が続いている。

 今週は金曜日の米消費者物価(CPI)を始め、物価統計が複数発表されるが、市場ではその内容を確認したい雰囲気も強いようだ。しかし、以前よりはネガティブな指標よりはポジティブな指標に反応し易い地合いにはなっているものと思われる。

 ドル円は現在、10日線付近で推移している。目先の上値レジスタンスとしては111円ちょうど付近と100日線が控える111.40付近が意識される。

 一方、ユーロドルは1.17台後半で推移。先週末の米雇用統計を受け利益確定売りが出ているものの下押す動きまではなく、1.17台では押し目買いも出て底堅さを堅持している。

 米雇用統計を受けた下げでテクニカル的な過熱感は一服しているが、米大手銀の分析によると、ファンド勢のロングポジションの積み上がりは過熱といえるほどはまだ積み上がっていないとの指摘も出ている。7月の上昇でもさほどファンド勢はロングを積み上げていないという。

 ポンドはNY時間に入って売りが優勢となり、対ドルでは1.30台前半、対円では144円台前半に値を落とした。ポンド売りの特段の材料は見当たらなかったが、先週の英中銀金融政策委員会(MPC)を通過して、利上げや景気の先行き期待が後退しており、ポンドは上値が重い。

 英個人消費への不透明感も根強く、カード会社ビザが発表した7月の英消費支出指数は0.8%減少し、3ヵ月連続の下落となった。6月の0.2%減から加速していた。

 なお、テレグラフが日曜日にメイ英首相はEU離脱に対する制裁金として400億ユーロを支払う意志があると伝えていたが、その報道に対して不正確な数字との批判も出ていた。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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