きょうのNY為替市場は半にかけてドル買い戻しが強まり、一気に形勢が逆転した。北朝鮮のミサイル発射で市場はリスク回避の雰囲気が強まり、ドル円も108円台前半まで下落していたが、NY時間に入ると米株もプラスに転じ落ち着いた反応を示していた。
北朝鮮問題に関してNY勢は意外に楽観的なようで、ドル安や利上げ期待をやや後退させてはいるものの、米経済全体への影響は限定的との見方が強まっている。この先もリスクではあるが、エスカレートすることはなく、いずれ終息して行くとの楽観的な期待もあるようだ。
国連安保理の非公開の緊急会議が開催されるが、日米は北朝鮮への原油輸出を国連安全保障理事会で石油禁輸措置を提起する方針とも伝わっていたが、ステージはまだ経済制裁強化の段階とも取れる。
ドル円は買戻しが加速し、きょうの下げを取り戻した。一気に10日線を回復し、本日109.80付近にきていた21日線に顔合わせしている。心理的節目の110円を回復し一旦底打ちになるか、明日以降が注目される展開ではある。
きょうは北朝鮮問題も然ることながら、その間隙を縫ってユーロが急上昇していた。有事のドル買いというのは既に死語になってしまったのか、為替市場はリスク回避のユーロ買いが強まっていた。北朝鮮問題に関しては当事者でないこともあるであろう。
ユーロドルはストップを巻き込んで2年半ぶりの1.20台に急上昇し、一時1.2070近辺まで上昇した。しかし、後半なって一気に戻り売りが強まり1.19台半ばまで値を戻している。
先週のジャクソンホールでのドラギ総裁の講演では金融政策への言及はなかった。ドラギ総裁が何も言及なかったことに対して一部からは、ECBは出口戦略に舵を切る中でユーロ高をある程度許容するとの見方も出ている。しかし、多くの市場関係者の間では、早過ぎるとして警戒感が高まっている。もっとも、ユーロしか買えない状況がそうさせているのかもしれない。
いずれにしろ、来週はECB理事会が開催される。それまでにECB理事からユーロ高へのけん制が出るか目先は注目されそうだ。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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