きょうのNY為替市場は全般的にはドル買い戻しが優勢となったものの、ドル円は午後になって戻り売りに押された。前日はFOMC声明を受けてドル売りが強まった。インフレの現状認識が前回より若干ハト派になったことに敏感に反応していたようだが、市場の一部からはFOMC後のドル売りの反応は少し行き過ぎとの指摘も出ていた。
バランスシート縮小開始の意向は前回同様に示されており、市場では9月開始が依然として有力視されている。年内の利上げについては見方が分かれており、現状では12月の利上げ予想は半々といったところのようだ。
ドル円は東京時間に一時110.80近辺まで下落していたが、NY時間に入ると、この日の米経済指標が強かったこともあり、111.70近辺まで買い戻される場面も見られた。日銀と各国中銀との出口戦略に対する温度差の違いから、市場では円安期待は根強く、下値では日本の機関投資家の買いも断続的に出ていたようだ。一時100日線付近まで回復し、112円台前半の200日線を再び試すかとも思われたが、午後になって急速に伸び悩んでいる。
特段の売り材料はなかったが、米株式市場でIT・ハイテク株に売りが強まり、ナスダック指数が序盤の上げから1%超急落したことがドル円を圧迫した。IT・ハイテク株の売り自体も特段の材料は見当たらなかったが、最高値更新が続いており上値も一旦重くなっていた。月末を控えた短期的な動きとも考えられる。
ドル円は110円台に再び下落する展開も見られたが、押し目買いも入り111円台は維持した。
一方、ユーロはNY時間に入って戻り売りが優勢となり、ユーロドルは1.16ドル台に下落している。前日のFOMC声明を受けてドル売りが強まり、ユーロドルは本日の東京時間に一時1.1775付近まで上昇していた。2015年1月以来の高水準。
ただ、ロンドン時間に入って利益売りが優勢となり、高値から100ポイント超下落している。もともと過熱感が強く利益確定売りが出やすい状況にはあった。
一部からは現行の米国債とドイツ国債の利回り格差からすれば、ユーロドルは1.12~1.14のゾーンが適正との見方も示されており、現在の水準はかなり高い。一方で過去の経験則からすれば、意外に適正水準からかけ離れた状態が続く可能性もあるとも指摘されていた。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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