【NY市場】次期FRB議長めぐる報道で上下動

 きょうのNY為替市場は、次期FRB議長めぐる報道で上下動している。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が、トランプ大統領とムニューシン米財務長官がきのう、ウォーシュ元FRB理事と面談したと伝えたことをきっかけにドルは買い戻しが強まった。来年2月初めに任期切れを向かえるイエレンFRB議長の後任探しが本格化しつつあるが、その候補としてウォーシュ氏に潜在的な能力があるか協議したという。

 ウォーシュ氏とドル高の関係については未知数ではあるが、以前パネル討論会で、FRBは景気拡大局面の早い段階で利上げの機会を見過ごしたと指摘し、最大限の雇用と物価安定という当局の目標に極めて近づいている状況で、なぜ金利がこれほど低いのかとの疑問を語っていた。

 一方、舌も乾かぬうちにブルームバーグが関係者の話として、トランプ大統領は他のFRB議長候補とも面談したとし、FRB議長レースの結果はまだ見えないと伝えた。この報道で今度はドル売りが強まっている。

 ただ、全体的に方向感を強める動きまでは無く、レンジ内で上下動した程度ではあった。

 トランプ大統領は向こう2、3週間の間に決めたいと記者団に語っている。
 
 ドル円は112.20から112.75の間で上下動。朝方発表になった8月のPCEデフレータがコア指数で予想を下回る内容となったことから売りが強まり112.20近辺まで下落したものの、上記の報道を受け、一時112.75近辺まで戻す動き。

 なお、PCEデフレータに関しては、市場では先日のFOMC以降、年内利上げ期待を高めているが、インフレに関しては鈍化懸念の根強さが示された格好となった。PCEデフレータはFRBが最注目のインフレ参考指標として使用しており、FRB独自の予想なども公表している。

 きょうの10日線は112.15付近に来ているが、その水準は維持されている。きょうは期末の取引ということもあり、実需の動きも警戒されたが、日本時間0時のロンドンフィキシングも波乱無く通過しており、概ね112.50を挟んでの上下動に終始しているといったところのようだ。

 また、円安の動きも見られており、ドル円の下値をサポートしている。先日のFOMCを通過して、市場は再び年内の米利上げ期待を高めている。ECBも来月の理事会で出口戦略を打ち出すであろう。英中銀も年内利上げの可能性を示唆している。各国中銀が金融引締めに舵を切る中、日銀はその気配はない。むしろ、緩和強化を主張している審議委員もいる状況。

 この日発表になっていた8月の全国消費者物価(CPI)を見ても、エネルギー・生鮮を除いたコアコア指数は前年比0.2%とインフレ目標には程遠く、デフレすれすれといったところ。成長や雇用は各国同様に底堅いものの、これでは日銀が出口戦略に舵を切ることは難しいであろう。

 北朝鮮問題など地政学リスクや政治リスク、そして、株安などが無ければ、年末にかけての方向としては円安なのかもしれない。

 きょうのユーロは買戻しが見られていた中、ユーロ円も133円ちょうど付近まで戻す展開となった。週初には戻り売りが強まっていたが、21日線でしっかりサポートされており、上昇トレンドは継続している。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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