【NY市場】ドル買いの流れは続くも トランプ相場には一服感も

 きょうのNY為替市場は全体的にはドル買いの流れが続いているものの、トランプ氏勝利後からの急ピッチなドル買いの勢いは次第に緩んできている。この日発表になった米生産者物価指数(PPI)が予想を下回ったこともドル買いを一服させていた。

 米株式市場でダウ平均が反落し、米国債利回りも下げに転じていた。トランプ相場もそろそろ一段落といったところで、今後、トランプ氏が選挙戦で言及していた大型減税やインフラ投資の具体的な中味や実現性を探る展開に入って行くものと思われる。

 トランプ氏の政権移行チームで経済顧問を務め、次期財務長官の候補にも挙がっているムニューチン氏のコメントが伝わっており、インフラ投資の資金を確保するためのインフラ銀行の創設を検討することがトランプ政権の中心課題だと述べていた。インフラ投資に関してはシンプルに財政出動ということではないのかもしれない。

 なお、市場は12月の米利上げ確率を90%まで引き上げ、ほぼ確実視している中、ブラード・セントルイス連銀総裁がシンガポールでの講演で「12月に利上げをしなければ、現時点では意外感を持つと言わざるをえない」と述べ市場の期待を追認していた。

 ドル円は戻り売りに押され、一時109.00付近まで下落する場面も見られた。しかし、109.00付近にはマクロ系ファンドなどの押し目買いも観測され、きょうのところは109円台は維持されている。ドル円は109.75付近まで上昇する場面も見られたが、さすがに大きな心理的節目である110円に接近するに従って上値抵抗も強まるようだ。

 110円にかけてはオプション勢のほか、輸出企業の売りオーダーも多数観測されている。9月の日銀短観によると、2016年度下期の大企業・製造業の想定為替レートは107.42円となっている。現状であれば好ましい水準にありヘッジ需要は旺盛と思われる。

 ユーロは軟調な動きが続いており、ユーロドルは1.0665近辺まで下落し、年初来安値を完全に更新した。ユーロ自体の材料もユーロ押し下げている面もあり、来月のECB理事会での資産購入プログラムや、来年の政治イベントのリスクなどが取り沙汰されている。政治リスクとしては目の前にイタリアの憲法改正の国民投票が12月4日に予定されている。

 上院の定員を現在の315人から100人に減らし、議決権を下院に集中させるというものだが、国民投票実施を決定した当初は改革支持が優勢だったが、ここにきて反対派が若干リードしている。レンツィ首相は、国民投票で否決されれば辞任するとも発言しており、場合によってはイタリアの政治が再び混乱するリスクもある。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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