【NY市場】株安・円高・ドル安でドル円は失速 一時111円台に急落

 きょうのNY為替市場でドル円は急速に戻り売りに押された。きょうは株安・円高・ドル安の動きが強まっている。きょうも米国債利回りは上昇しており、円安の流れも根強いなか、朝方のドル円は買いが強まっていた。上値抵抗となっていた112円台半ばの水準を突破し、一時113円台をうかがう動きも見せていた。

 しかし、米株式市場が開くと様子は一変し、ドル円は急速に戻り売りに押されている。IT・ハイテク株に売りが強まり、為替市場もリスク意識を強めたようだ。IT・ハイテク株の売りについては、前日にFRBが大手金融機関34行の資本計画を承認し早速、大手行から自社株買いや増配など株主還元策が発表されており、銀行株が上昇。それへの資金シフトよるものと思われる。

 ドル円は本日の上げを失い、一時111.80近辺まで急落。四半期末が接近していることもあり、ポジション調整の売りも強まった模様。

 ユーロは対円では利益確定売りも強まったものの、対ドルでは上値追いを続けている。ユーロドルは1.14ドルを割り込む場面も見られていたものの、しっかりと維持し1.14台半ばまで上げ幅を広げた。

 今週はドラギECB総裁が「ECBは政策手段のパラメーターを調整することで景気回復に対応することが可能」と述べ更に、「インフレを抑制しているものは一時的」と語ったことで市場のユーロ買い意欲を掻き立てている。前日は関係者のコメントとして、「ECBはドラギ総裁の発言に対して、市場は判断を誤ったと見ている」との言及が伝わりユーロも、急速に戻り売りを強めていたが直ぐに戻した。ECBもそろそろ今回のユーロ高に苛立ち見せ始めている雰囲気も出てきているが、いまのところ市場も無視しているようだ。

 ドラギ総裁の発言以降の急伸で、テクニカル的にはさすがに過熱感は否めない。過熱感を示すテクニカル指標であるRSIは買われ過ぎの70を超えてきており、5月以来の高水準に上昇。さすがに上値警戒感もあり短期的な売りを推奨する声も出ているようだ。

 ポンド円も145円台半ばに伸び悩だものの、ポンド自体は強い動きを続けており、ポンドドルは1.30付近での推移を続けた。カーニー英中銀総裁がフォーラムで利上げの可能性に含み持たせる発言をしたこで市場では早期利上げ期待が高まっている。インフレ報告が発表になる次回8月の利上げの可能性も指摘されているようだ。

 ただ、足元の指標は弱い内容も多く、平均賃金も伸びが鈍い。市場が期待しているほど利上げのハードルは低くはないものと見られる。第2四半期の英GDPや賃金動向次第の面もありそうだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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