きょうのNY為替市場、NY時間に入ってドル買いが優勢となった。米製造業の景況感指標が予想を上回ったことや、米国債利回りが上昇していること、そして、米株が上昇したこともフォローとなった模様。
市場は12月の米利上げ期待を高めており、CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは、12月までの利上げの確率を70%まで織り込んでいる。米大統領選でクリントン候補が優勢と伝わっていることもドルをサポートしているようだ。
ドル円はストップを巻き込んで一時104.30近辺まで上昇。先週末の高値である104.20水準を一時上回った。その後は上値を伸ばせなかったが、104円台は維持しており、明日以降の動きが注目される。目先は104.50付近と10月13日の高値104.65円付近が上値抵抗として意識されるが、輸出企業の売りオーダーなど105円までの売り圧力は強そうだ。
ユーロ・ドルはNY時間に入って伸び悩む動きとなり、1.08台後半で取引されている。この日発表になったユーロ圏やドイツなどのPMIが予想を上回る好調な内容だったこともあり、ロンドン時間にはユーロは緩やかな買戻しが続いていた。
先週のECB理事会後のドラギ総裁の会見では、資産購入プログラムの期限延長も量的緩和(QE)縮小もどちらも議論しなかったと述べる一方で、「QEを縮小することなく唐突に停止することは恐らくない」とも述べていた。市場は12月の理事会で期限延長が打ち出されるとの期待が高まっている。
ただ、購入できる国債が品薄になってきていることも手伝って、現在、月間800億ユーロとしている資産購入額を減らすなど、何らかのQE縮小策も同時に発表してくるのではとの見方も一部では出ている。きょうのPMIの指標はその観測を裏付ける好材料ではあった。
ポンドもNY時間に入って伸び悩んだものの、ポンド円はドル円が上昇したこともあり、127円台と堅調な動きが続いた。
このところ、ポンド自体の売りの動きは一服しているものの、相変わらず上値は重い。ただ、ドル円の買い戻しが続いていることから、ポンド円も下げを一服させている。
ポンド安による英インフレ期待が高まっており、英国債利回りは10年債で1%台を回復するなど上昇傾向が続いている。一方、日本国債のほうは、日銀がイールドカーブ操作への方針転換で、10年債利回りをゼロ近辺にフィックスすることをコミットしており、実際、10年債利回りはゼロを若干下回る水準で推移している。
日英の利回り格差は拡大しており、それだけから見ればポンド円は買いなのかもしれない。しかし、ハード・ブレクジットへの懸念が重くのしかかっているようで、ポンド円は下げ渋ってはいるものの、買い戻しを強める動きまでは見られていない。
なお、きょうのNY為替市場でオフショア人民元が対ドルで過去最安値を更新した。ドル/オフショア人民元は一時6.7880まで上昇。米利上げ期待とともに中国経済への不信感からオフショア市場で人民元は売りが続いているが、10月に入って以降、動きが加速している。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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