【NY市場】ドル円は一時111円台に上昇も議事録受け失速

 きょうのNY為替市場でドル円は上に往って来いの展開となった。朝方発表になったADP雇用統計が強い内容となったことでドル円は買い戻しが強まった。前日は110円台前半まで下落し、心理的節目の110円を試す動きも見られたが、ひとまずサポートされた格好となっている。

 3月のADP雇用統計では雇用者数は26.3万人増加し、2014年12月以来の増加幅となった。建設や製造業の雇用が堅調だった。週末の米雇用統計への期待が高まっているが、傾向が必ずしも一致しないことは留意しておきたい。

 ただ、午後になって公表されたFOMC議事録を受けてドル円は次第に売りが優勢となり111円を割り込んだ。今回の議事録ではバランスシートの議論に注目が集まっていたが、予想通り年内に再投資を縮小または終了する可能性を指摘している。米国債とMBSの両方で変更すべきとの指摘も多かった。

 この内容を受けて直後こそドル買いの反応も見られたものの、直ぐにドルは伸び悩んだ。FOMCメンバーの大半が株価が非常に高いと懸念を示していたことや、この日の強いADP雇用統計で既にドルは上昇していたことから、利益確定売りも出たものと思われる。米株が伸び悩み、ドル円も追随するように110円台に戻している。

 一方、ユーロドルは一時1.06台前半に値を落としたものの、1.0670近辺に反転。ただ、全体的にはレンジ内での取引が続いている状況に変化はない。先週からの下げは一服しているが、リバウンドの流れに復帰する気配はいまのところ見られていない。市場にはECBが年内に出口戦略に舵を切るとの期待感は根強いものの、ECB理事はその期待に対して火消しに回っており、買戻しも入れづらい状況のようだ。

 ポンドドルは1.24台後半で上下動。ロンドン時間に発表になった3月の英サービス業PMIが予想を上回る内容だったことを受け、ポンドは買い戻しが強まった。ただ、心理的節目の1.25手前で上値は抑えられている。

 ポンドの上値には慎重な声は依然として多い。今年下期にはインフレは上昇を続けるものの、成長は減速するとの見方から、ポンドドルは1.20を割り込むとの見通しも少なくない。きょうは英中銀のブリハ委員の発言が伝わっていたが、拙速な利上げは遅過ぎる利上げよりも深刻な過ちになると述べていた。また、英個人消費の減速は既に始まっており、更に悪化するとの見方も示していた。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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