【NY市場】ドル円は111円台を回復 ひとまずリスク回避の雰囲気後退

 きょうのNY為替市場は円売りが優勢となり、ドル円は111円台まで買い戻されている。世界的な株高やドル円の重しとなっていた米国債利回りもきょうは上昇したことから、ドル円も買戻しを加速させたようだ。一時111.20近辺まで上昇。

 北朝鮮が朝鮮人民軍85周年記念日でも核実験を行わず、冷静な対応していることから米国も、これまでの軍事オプションを前面に出した強硬姿勢を軟化させる可能性があるといった観測も出ており、市場は沈静化への期待を高めている。

 仏大統領選や北朝鮮問題がひとまず最悪の事態は回避されそうなことから、リスク回避の雰囲気が後退。市場の関心がファンダメンタルズに移りつつあり、好決算を受けての米株上昇などがドル円をサポートしている。

 明日はトランプ大統領が税制改革案を発表するが、これに対する反応次第では、ドル円の更なる上値期待の雰囲気も出てきている。

 きょうは安値から150ポイント上昇。21日線を突破し、上放れする展開となっている。ショートカバーが活発化していたほか、様子見だったロング勢もこの動きに、新規に参加してきている模様。

 きょうの上げで3月10日高値~4月18日安値のフィボナッチ38.2%戻しである110.95水準を上回って来ている。111円台での戻り売りもありそうだが、現行水準を堅持し定石通りであれば、上記フィボナッチの50%戻しである111.80水準が視野に入る可能性が高まりそうだ。

 ユーロはきょうも上昇。一部報道で、仏大統領選でマクロン氏が勝利した場合、ECBが6月の理事会で文言を調整する可能性があると伝わっていた。なお、今週の理事会では変更はないという。市場ではECBの出口戦略への期待が高まる中、仏大統領選をきっかけにECB内が、出口戦略の方向に舵を切り始める可能性を見出そうとしている。

 ユーロドルは1.0950近辺まで一時上昇し、ユーロ円は121円台半ばまで急上昇している。

 きょうはポンドも堅調。円安の動きも加わりポンド円は、二重の追い風が吹き142円台まで上昇している。きょうの上げで100日線を一気に回復しており、年初の高値水準である145円台を目指しそうな雰囲気も出ている。

 メイ首相が6月8日の解散総選挙を打ち出して以来、ポンドは買い戻しが活発化している。この選挙にメイ首相が勝利し、首相のブレクジット交渉の権限が強化されれば、ポンドにとってはポジティブな材料との受け止めのようだ。ポンドは昨年の国民投票以降の下げトレンドの大転換を向かえつつあるとの指摘も出ている。

 しかし、英経済のファンダメンタルズからは、英中銀が利上げの方向に舵を切る可能性は低そうだ。先日発表になった3月の英小売売上高は予想外に弱く、ポンド安がもたらした物価高で、家計の消費行動が鈍っている気配が高まっている。年内一杯はこの傾向が続くとの見方も少なくないようだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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