【NY市場】OPEC減産や月末フローでドル買い強まる ドル円は114円台に上昇

 きょうのNY為替市場はドル買いが強まった。前日は不透明感も高まっていたが、OPEC総会で減産で合意できたことに市場は安心感からドル買いを強めている。きょうは月末だが、それに絡んだドル買いフローも観測され、日本時間1時のロンドン・フィキシングにかけてドル買いが強まっている。

 ドル円は買い戻しを強め114円台に上昇。日本時間1時のロンドンフィキシングを境に買いを強め、ストップを巻き込んで一時114円台半ばまで上昇している。3月以来の高値を更新。

 トランプ氏の経済対策への期待から今月の米大統領選以降、ドル円は急速に上昇しており、月間の上昇率としては2009年2月以来の高さとなっている。これまで以上に日本の投資家からの米国債への資金流入が期待される中、きょうはロンドンフィキシングでの実需の買いも旺盛に出ていたようだ。

 一方、ユーロドルはNY時間に入って売りが強まり、一時1.0550付近まで下落している。ユーロに関しては、11月のユーロ圏消費者物価速報値が発表になっていたが、前年比で+0.8%となり、ここ数ヵ月は1%を下回る水準での推移が続いている。

 目先はデフレに陥る危険性は小さいものの、インフレの兆候までは見られていない。12月のECB理事会では、来年3月までとしている資産購入プログラムの期限延長が見込まれているが、その期待を裏付ける内容となった。

 一時は底堅い経済指標から、量的緩和(QE)の縮小期待も高まっていたが、来年にかけて政治的な不透明感もある中、その期待は後退しているようだ。

 なお、きょうは以前から噂されていたムニューチン氏の米財務長官への起用が伝わっている。ムニューチン氏は元ゴールドマン・サックスの幹部で金融界の出身。金融界の出身者が米財務長官になるケースはこれまでも数多くあった。ウォール街にとってはドル高で海外からの資金が米金融市場に集まったほうがビジネス機会が増え有利となることもあって、金融出身者が米財務長官になるとドル高が期待される。

 しかし、今回はどうであろうか。トランプ氏は選挙戦で日中の通貨安誘導を非難していた。特に中国に対しては為替操作国に指定し、高関税を課すとも公言している。ドル高は金融界にとっては歓迎なのかもしれないが、製造業にとっては輸出に影響し打撃となる。トランプ氏の支持者はむしろ、製造業の中間白人層が多いようだが、2期目を狙う同氏にとってはドル高の進行は避けたいところであろう。

 きょうはムニューチン氏のTVインタビューが伝わっていたが、「今後数年間は比較的低金利で、必要に応じ中国を為替操作国に認定する」と述べていた。そのほか、きょうはカプラン・ダラス連銀総裁の発言も伝わっていたが、「著しいドル高は中国への圧迫を強め、米輸出企業へも逆風」とドル高をけん制している。

 どうも、市場の期待とは裏腹に、米当局はドル安志向を強める可能性もありそうな印象も受ける。米当局がドル安志向を強めれば、過去の経験則からはドル円の上げは難しい。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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