きょうのNY為替市場はドル買い戻しが加速。この日発表になった米生産者物価(PPI)はインフレ鈍化への懸念を再確認する内容となった。ただ、ドル売りの反応も見られなかったことから反応が一巡すると、米国債利回りの上昇伴にドル買い戻しが再び強まっている。ハリケーンと北朝鮮問題への懸念後退による買い戻しの流れが基調として続いているものと思われる。
また、米議会共和党指導部とホワイトハウスが今月の最終週に税制改革のガイドラインを公表すると発表したことも期待感に繋がっている模様。
この日発表になったPPIなどインフレ鈍化への懸念は根強く、年内利上げ期待はさほど高まっていないものの、景気の先行きには楽観的な見方が多い。ハリケーンの影響についても短期的に留まるとの見方は多い。
ドル円は110.70付近まで一時上昇。21日線から上放れの展開が強まっているが、目先の上値メドとして意識されていた8月31日高値110.65水準に到達している。
午後になって「モラー特別検察官がソーシャルメディアに捜査の重点を置いている」と伝わったことから急速に売られる場面も見られたが、この報道に米株や米国債利回りは、さほど反応しておらず、ドル円も直ぐに戻した。
110.65水準を上抜くようであれば、次は8月16日高値110.95付近が意識される。その上は100日線が111円台前半に来ている状況。ただ、明日は米消費者物価(CPI)の発表が予定されており、その反応次第のところはありそうだ。
一方、ユーロドルは戻り売りが強まり、1.18台に下落。21日線が1.1885付近にきているが、その水準を下回る動きも見られている。ロンドン時間まで1.20台回復を試す動きが見られていたが、回復できずに失速した格好。前日のNY時間に買い戻しを入れていた短期筋が1.20手前で利益確定売りを活発に出していたとの指摘も聞かれた。
ポンドもきょうは利益確定売りの展開。この日発表された英雇用統計で平均賃金の伸びが予想に届かなかったことで上げ一服となったようだ。明日は英中銀金融政策委員会(MPC)が開催される。政策は据え置きが確実視されており、注目は委員の投票行動であろう。前回は7対2での据え置きだったが、今週発表の英CPIが強い内容だったことで、6対3での据え置きになるとのタカ派な見方も出ている。しかし、本日の平均賃金のデータからすると今回も、7対2の可能性が高いようだ。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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