きょうもNY為替市場はドル買いが優勢となっおり、トランプ氏の大統領選勝利に伴うハネムーン相場が続いている。大型減税やインフラ整備など大胆な財政刺激策に市場は期待を高めており、インフレや財政赤字拡大観測から米国債利回りが急上昇している。マクロ系ファンドなどのドル買いが断続的に観測されていたようだ。
市場は12月の米利上げ期待をほぼ確実視する中、トランプ新大統領が誕生する来年以降も利上げは続くとの見方も出ている。直近の見通しでは来年2回の利上げがコンセンサスだが、12月のFOMCは利上げの有無よりも、FOMCボードメンバーが来年以降の金利見通しをどう見ているかのほうが注目かもしれない。
今週はトランプ政権の顔ぶれが伝わってくることが予想されているが、特に市場の注目は米財務長官であろう。きょうは今回の大統領選でトランプ氏の経済諮問委員やキャンペーンの財務責任者を務めていたムニューチン氏の名前が挙がっていた。同氏はゴールドマンやソロスファンドなどを渡り歩いた銀行家で、現在はデューン・キャピタル・マネジメントのCEOを務めている。
ドル円は6月以来の高値水準である108円台半ばに上昇。米国債利回り上昇の一方で、日本国債の利回りも上昇しているが、日銀の管理下にある中で米国債利回りほどの上昇は見られていない。日米の金利差が拡大しておりドル円を押し上げている。
きょうの上げで200日線から上放れる展開を見せており、トレンドが上げに転じた兆候も出てきている。しかし、さすがに足元の過熱感は高まっており、RSIは買われ過ぎを示す70を上回ってきており、いつ利益確定売りが強まってもおかしくはない水準にはある。そろそろ一息ほしいところでもある。
ユーロドルは売りが続いており、一時1.0710近辺まで下落し、年初来安値に顔合わせしている。ECB幹部の発言からは、依然として資産購入プログラムの期限延長など緩和継続姿勢を崩しておらず、金融政策の格差拡大観測がユーロドルを押し下げている模様。また、ユーロに関しては来年の政治リスクも指摘されている。
きょうのポンドは戻り売りが優勢となった。トランプ氏への経済対策への期待で市場はリスク選好の雰囲気が強まっている。これまでネガティブな動きが続いていたポンドにも買い戻しの動きが見られ、先週は対ユーロや円はもちろんのこと、対ドルでも買い戻しが膨らんでいた。
しかし、市場からは英EU離脱問題への不透明感は依然として根強く、先週のポンド買戻しは少しやり過ぎとの見方も多い。週内にインフレ指標や英雇用統計、そして、カーニー英中銀総裁の議会証言など重要イベントが控えており、改めて下値リスクを意識しているのかもしれない。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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