【NY市場】FOMC後の流れ引継ぎドル売り優勢 ただ、ドル円だけは買い戻し

 きょうのNY為替市場は、前日のFOMC後の流れを引継ぎドル売りが優勢となった。この日発表の住宅指標などは弱い内容となったもののそれ自体の反応は限定的。前日のFOMCでは利上げが見送られたが、予想通りイエレン議長は12月の利上げの可能性に言及している。指標次第ということではあるが、市場では年内利上げに懐疑的な見方も出てきているようだ。

 前日は日銀決定会合も行われたが、緩和策をこれまでの量から金利操作へと方針転換している。緩和を縮小する方向ではないものの、市場がこれまで期待し続けてきた緩和拡大のイメージはない。また、ECBも年内の追加緩和に慎重との見方も出てきており、これまで金融政策の格差拡大観測からドルは買われてきたが、そろそろ格差拡大もピークに近づいているとの見方もできそうだ。

 市場はドル売りが優勢となったものの、ドル円だけは買い戻しが優勢となり、100円台後半に戻している。東京勢は祝日で休みだったものの、アジア時間には100.10近辺まで下落するなど、100円の大台割れをうかがう動きも見られた。

 日銀決定会合、FOMCを受けてのドル円の下落に、金融庁、財務省、日銀が国際金融市場に関する臨時の3者会合を開くなど、政府当局の動きがドル円の下値攻めに警戒感を与えたようだ。米株式市場で株価が堅調に推移していたこともサポート。

 ただ、ドルが下値模索となる中では、ドル円の戻りにも限界はありそうだ。

 一方、ユーロドルは買戻しが強まり、一時1.1250近辺まで上昇した。しかし、後半になると、上値の重さを嫌気し、1.1200付近に伸び悩んでいる。ちょうど21日線の付近で、再び分岐点に帰っている。

 ポンドは堅調に推移。ドル安の動きから、対ドルでの上昇が続いているほか、対ユーロや円でも上昇しており、ポンドは力強い動きをしていると言える。ポンドドルは1.31台、ポンド円は132円台まで上昇する場面も見られた。

 きょうはフォーブス英中銀委員の発言が伝わっていたが、英中銀は英EU離脱の影響を過剰に見積もっていた可能性があると述べていた。現段階での追加緩和はないと見ているとしている。

 これについては見解が分かれており、英国はEU単一市場へのアクセスができなくなることから、金融機関をはじめ、企業や労働者が英国から欧州大陸へ流出。次第に経済は悪化してくるとの見方から、ポンド売りを推奨する向きも少なくない。

 なお、前日のFOMCメンバーの金利見通しで、2016年は利上げ無しを予想しているメンバーが3人いた。大手欧州銀の推測によると、その3人はエバンス・シカゴ連銀総裁とブレイナードFRB理事、そして、タルーロFRB理事の3人だという。今後はこの3人の発言が特に注目となるのかもしれない。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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