中国のマイナーにとって、ビットコインのブロックサイズ拡大は利益になるか

中国・成都で行われた中国のマイナーのカンファレンス

 

10月、中国・成都で初めてマイナー(採掘者)による会議「China’s Miners’ Conference」が開催された。このイベントは大手採掘企業であるBitmainが宣伝のために主催したイベントで、およそ250名の人々(大多数は成都に集まったマイナーたち)が大きな会場を埋めた。

 

四川省はビットコインのマイニング(採掘)の中心地として名声を得ている。同州は水力発電の過剰供給という深刻な問題をかかえ、これが多くの採掘者を惹き付け、データセンターサイズの採掘企業が設立されている。

 

マイナーが利益を増やすためにはどうしたらよいか? Huang氏の主張

 

今回のカンファレンスで注目を集めたのは、ビットコインライターとして有名なHuang Shiliang氏の講演とそれに続くコア開発者の反論だった。Huang氏はマイナーが利益を増やすためにはどうしたらよいか、またビットコインをスケールさせるために必要なことは何か彼の考えを述べた。これは、これまで行われてきたビットコインのスケーリング問題(トランザクションの増加に伴い、ブロックサイズの容量の上限にいかに対処するかという問題)への解決方法であるSegwitとは方向性の異なるもので、これに対してビットコインのコア開発者が反論する形となった。

 

Hunag氏の主張「ブロック容量が満杯になると送金手数料が上がり、ユーザーが減る」

 

Huang氏は、オン・チェーン(ブロックチェーン上での記録)によるスケーリング戦略というアプローチがマイナーにとってもビットコインのスケーリングにとっても望ましいという彼の意見を述べた。これはオフチェーンでのスケーリングを目指すビットコイン・コアによる施策、Segwitとは逆方向のアプローチで、多数派のSegwitに対して少数派ではあるが一部の熱心な支持を集めるものだ。

 

最初に同氏はビットコインのデータサービスであるBlockchain.infoから過去2年のトランザクション量のデータを引用し、「(トランザクション量は)限界にぶつかるまでは上昇傾向が続いていたが、それ以降の半年は成長していない。これは、ブロックの容量がいっぱいになってしまったからだ。過去90日間はほとんど満杯だったことを示している。」と話し、ブロックの容量とトランザクション量の密接な関係を指摘。

 

次にHuang氏はこの技術的な制限を経済的な観点から考えるべき問題だと位置付けた。容量が限られると、より高額な送金手数料が必要となり、潜在的なビットコインユーザーを遠ざけてしまう。「多くの人々はこれを提唱している。料金を引き上げ、支払いを拒む人たちは排除しようと。そんなことができるだろうか? 送金手数料が高くなれば、ユーザーは減り、トランザクション規模も縮小し、送金手数料の合計も減るだろう。そうなれば人々がビットコインを使う理由がなくなってしまう。」と彼は言う。Huang氏は、こうした環境の中ではライトコインやイーサリアムのようなアルトコインが伸びていくことになるだろうと述べた。

 

「ブロックサイズの拡大はマイナーの利益を上げる」とHuang氏

 

Huang氏はまた、現在の1ブロック=1MBの制限がなくなりデータが拡大されることは、マイナーにとって好ましい環境となると話した。

 

彼はより大きなブロックサイズはマイナーたちにとって好ましく、利益が出るものになるだろうと主張する。「ブロックサイズが大きくなると、マイナーにはどのような影響があるだろうか。今から8年後、仮にブロックサイズが8GBだとすると、私の仮説では日次のトランザクション料金は今日の59BTCの1,000倍=59,000BTCになる。もしもハッシュレート合計の100分の1を持っていれば、500BTCを得ることができる。より大きなブロックサイズによってより多くのトランザクション料金を得られるというのは数学的な証明だ。」とHuang氏は話す。

 

Huang氏はこの考えについてさらに議論を続け、大きなブロックサイズはマイニングのハードウェアの寿命を長くすると主張する。「もし私たちが世界中でたった3トンの鉄しか処理してはいけないと制限する法律を制定したとすると、明らかに最先端の機器が古いものを駆逐してしまうだろう。」Huang氏は参加者たちにデータ認証を制限されたインターネットを想像してみて欲しいと話し、この問題は物議を醸すもので自分の意見はちょっと極端ではあると捕捉しながらも、ブロックサイズを大きくすることが解決策であるとマイナーたちに訴えた。

 

コア開発者サイドの反論「送金手数料だけでビットコインを動かすことはできない」

 

こうしたHuang氏の主張は中国ではよく聞かれるものである一方で、ビットコインの開発者たちからは批判を受け続けている。Huang氏の講演の後でビットコイン・コアの開発者からのプレゼンがあったが、その中で開発者たちは「ビットコインの価値がどのように参加者の広範な合意形成を通して決定されるか」という研究を引用し、Huang氏の発言が誤った認識のものだと主張した。

 

ビットコイン・コアの開発者たちは、ブロックのマイニングによる報酬無しにはビットコインは不安定となることを発見したプリンストン大学の研究を引用した。これは、送金手数料市場だけでビットコインを支えることができるというHuang氏の見方とは矛盾する。

 

さらに開発者サイドは、マイナーたちが一方的にハードフォークによって新しいブロックチェーンにスイッチすることはできないだろうと考えている。これによって二つのチェーンが出現し、通貨の価値が下がるリスクを抱えることになる。

 

マイナーたちは現在Segwitをアクティブにすることができるが、技術的なアップグレードの2週間前にマイナー全体の95%による支持が必要とされる。こうした技術的な議論の後、どのくらいのマイナーたちがSegwitを選択するか結果が注目される。

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Source: Coin Portal

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