きょうのNY為替市場は終盤になって動きが一服したものの、全体的にはドルは底堅い動きを続けている。前日にOPECが減産で合意したことから、原油の上げが続いており、米国債利回りも上昇が続いていることがドルをサポートしていた模様。この日発表になったISM製造業景気指数は予想を上回る内容となったものの、特に反応は限定的だった。明日の米雇用統計など重要指標が控えているものの、今月のFOMCでの利上げはほぼ確実視される中、足元の経済指標への関心は薄い。
ドル円は終盤になって戻り売りに押されたものの、一時114円台後半まで上昇し、115円を目指す動きも見られた。ただ、きょうは円売りの側面も大きかったようだ。米国債利回りが上昇しているほか、きょうは欧州債利回りも上昇している。日銀が長期金利を低水準に操作する中、日本と米欧の利回り格差拡大への期待が高まっているものと見られる。
市場の一部からは対円でのドルやユーロの買いを推奨する声も出ており、ドル円のみならず、クロス円も堅調。ポンド円は一時145円台まで上昇し、200日線の水準を上回ってきている。
ユーロは買戻しが強まり、対ドルで1.06台半ばまで戻している。日曜日のイタリア国民投票が気掛かりではあるが、世論調査ではいずれも否決が優勢。レンツィ首相は否決された場合は辞任する意向を示していたが、一部からは、大敗でない限り首相は辞任を思い止まるとの見方も出ている。そのため、ユーロの安易な売りは控えるよう推奨している向きもおり、下値ではショートカバーも出てきている模様。ただ、キャメロン前英首相も責任をとって辞任したが、国民投票で否決されて内閣が維持できるかは未知数。
あと、もう一つ大きな憶測が伝わっている。ロイター通信が関係筋の話として、来週のECB理事会で資産購入プログラムの期限延長を発表すると同時に、いずれ量的緩和(QE)を終了することを強調したシグナルも発することを検討していると伝えたこともユーロ買いを誘ったようだ。以前からこの観測は流れていたが、このところは後退していた。いずれにしろ、ドラギECB総裁の理事会後の会見は要注意となりそうだ。
きょうはポンド買いが目立ち、ポンドドルは一時1.27近くまで急上昇している。デービスEU離脱担当相が、EUの予算に英国が資金を拠出してでも、単一市場へのアクセスと関税同盟を確保することを検討していると述べていた。
しかし、ドイツのメルケル首相は、自身が所属する政党CDUのフォーラムにウェブを通して参加しており、人、モノ、金、サービスの移動の自由が確保されない限り、単一市場へのアクセスに関して譲歩することはできないと語っていた。
アイデアは出ているものの、英国の単一市場へのアクセス維持は、やはりハ-ドルが高いのかもしれない。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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