きょうのNY為替市場はドルの買戻しが強まり、ドル円も114円台半ばまで買い戻された。きょうは米経済指標が複数あったことや、イエレンFRB議長の講演などもあり、短期筋中心にショートカバーが活発化している。前日はトランプ氏の「ドルは高過ぎる」との発言からドルは売りが強まっていた反動もあったものと思われる。
その米経済指標だが、米消費者物価と米鉱工業生産が発表になっていたが、弱くはなかったが、ドル買戻しを加速させるような強さもなかったといったところ。
ただ、イエレン議長の講演では「FRBは2つの目標に接近」と述べたこともあり、終盤にドル買いが加速。これまでと概ねトーンは変わらない印象だが、ドル円は、米国債利回りが上昇を続ける中、114円台半ばまで戻している。
昨年末の期待とは裏腹に、ドル円は今年に入り終始売りが続いている。1ヵ月もしないうちに、年初の高値118円台半ばから112円台半ばまで下落している。今週末に米大統領就任式を控える中、ここにきて買い戻しも出ているのかもしれない。
一方、ユーロドルは1.06台前半に下落。途中、1.07台に戻す場面も見られたが結局、押し戻された。明日はECB理事会が予定されているが、ECBは年内にインフレ指標の上昇から出口戦略に舵を切るとの見方が少なくない。しかし、今回は特に動きはなく、12月に発表した4月以降の資産購入プログラムの変更を確認する程度で、無難な通過が見込まれているようだ。
きょうはカナダドルの売りが目立った。カナダ中銀が政策委員会を開催し、政策金利は予想通り据え置かれた。声明でGDP見通しを上方修正していたこともあり、直後はカナダドル買いの動きも見られていたが、その後のポロズ・カナダ中銀総裁の会見で「下振れリスクに対応するため利下げを選択肢として残す」との発言に敏感に反応した模様。
総裁はトランプ政権の貿易政策は不明としながらも、もし、保護主義が強まるようであれば、影響は出るとも指摘した。また、労働市場には大きなスラックが残っているとも言及している。トランプ政権の貿易政策に対する不安感の中で、カナダ中銀も慎重姿勢は崩していないようだ。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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