きょうのNY為替市場はドル売りが加速した。北朝鮮が核実験を行ったことで、きょうの市場はリスク回避が強まっている。米株や米国債利回りが大きく下げる中、ドルも売りが強まった。
NY勢もこれまでのミサイル発射には、米経済への影響は限定的として見過ごしていた感もあったが、さすがに核実験となれば緊張を高めざるを得なくなっていたようだ。軍事衝突の可能性まではまだ見ていないようだが、リスクとして意識しつつある模様。
北朝鮮問題に関しては嵐が過ぎ去るのを待つのみだが、9月9日の北朝鮮の建国記念日に向けて大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射も噂されており、市場も週内は北朝鮮リスクに敏感にならざるを得ないようだ。
なお、NY時間の朝方にブレイナードFRB理事の発言が伝わっていたが、インフレ指標の鈍化が続いていることを受け、追加利上げに動く前に基調インフレに注意を払う必要があるとの見解を示していた。ただ、今月のFOMCでのバランスシートの縮小開始については賛同する意向を示している。
ハト派の理事だけにサプライズはないが、リスク回避の雰囲気の中で、ドル売りを後押しした面もありそうだ。
ドル円は108円台に下落。先週も何度か108円台に下落する場面が見られていたが、いずれもサポートされ週後半には110円台まで戻しリバウンドの機運も高まっていた。今週は期待されていたが、北朝鮮の核実験が期待に水を差した格好。
一方、ユーロドルは買戻しが優勢となり一時1.1940ドル近辺まで上昇。ただ、ユーロもこれまでのような力強さはなく、対ポンドや円などクロスでは軟調な動きも見られている。木曜日のECB理事会を控えて積極的な取引は手控えされているようだ。
市場では来年以降、ECBは資産購入ペースの縮小を開始し、出口戦略に乗り出すとの期待が高まっている。その計画が今回か10月の理事会で発表されるとの期待を高めている。ただし、今回は計画の発表は見送られるとの見方が多いようだ。一部にはECBは現状のユーロ高に対するインフレへの影響を警戒しており、10月も見送られるのではとの見方も出ている。12月まで何も決まらないとの報道も先週は伝わっていた。
見込みどおり今回は据え置きだったとしても、10月以降についてドラギ総裁が会見で何らかのヒントを示してくるか、市場は固唾を呑んで見守っている。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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