きょうのNY為替市場はドル買いが優勢となり、ドル円は一時114.75付近まで上昇している。朝方発表になったADP雇用統計がかなり強い内容となったことで米国債利回りが上昇し、ドル円も買いが強まった。
先週のイエレンFRB議長の講演直後の高値が114.75付近だったが、その付近まで一時上昇。ただ、115円を試す動きまではなかった。日本の年度末を控えていることもあり、115円にかけてはかなりの売り圧力も観測されている。
後半になると、好調な米10年債入札もあって米国債利回りが次第に上げ幅を縮小したことからドル円も114円台前半に伸び悩んだ。
きょうのADP雇用統計の結果を受けて金曜日の米雇用統計への期待を高めたようだ。ただ、必ずしも内容が一致するとは限らない点は留意して置きたい。また、市場は来週のFOMCでの利上げをほぼ確実視している。確率としては90%近くまで織り込んでいる状態。むしろ、今後の利上げペースに焦点が集まり始めており、今週の米雇用統計が材料になるかは未知数の部分も多い。
ユーロドルはADP雇用統計を受けて一時1.0535付近に下落する場面も見られたが、大きな動きは見られていない。心理的節目の1.05に接近すると買いも根強く出るようだ。春以降の政治リスクへの不安感は根強いものの、足元の指標は改善も見せている。
明日はECB理事会が予定されているが、政策は据え置きが確実視されている。先週末に2月のユーロ圏消費者物価速報値が発表になっていたが、エネルギー価格の上昇から総合指数は2.0%とECBの目標近傍に顔合わせしていた。ただ、コア指数は0.9%と依然として1%を下回る水準で推移。
今回のECB理事会はスタッフ見通しも公表されるが、インフレ見通しは上方修正になる可能性はある。しかし、あくまでエネルギー価格上昇が主な要因で、出口戦略のメッセージはないものと思われる。
ドラギ総裁は会見で、これまで通りの緩和継続姿勢を強調してくるものと見られるが、声明での文言の細かい変化には注意したい。特に「金利が長期にわたり、資産購入プログラムの終了後もかなりの間、現行またはそれ以下の水準に留まる」とう部分は注目。ただ、変更なしの可能性が有力ではあるが。
ポンドは下値模索が続き、ポンドドルは1.21台半ばに下落。3日続落しており、心理的節目の1.20をうかがう気配が続いている。
きょうはハモンド財務相が春の予算案を提出しており、EU離脱の準備期間中の歳出について方向を示した。2017年の成長見通しは2%と昨年11月時点の1.4%から上方修正し、また、今後5年間の借り入れ計画を235億ポンド縮小も発表した。
この発表を受けポンド買いも見られたものの、一時的な動きに留まっている。物価高で個人消費減速の兆候も見られる中、足元の指標が弱い内容が相次いでおり、この日に示された成長見通しが達成できるか未知数の部分も多い。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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