【NY市場】米大統領選の動向に一喜一憂 きょうはポンドが上昇

 きょうのNY為替市場、序盤はドル売りの動きも一服していたものの、後半になって再び売りが優勢になった。ドルは相変わらず上値の重い展開が続いている。

 東京勢が祝日の中、ドル円はアジア時間で売りが強まり102円台半ばまで下落していた。メール問題でクリントン財団がFBIの調査対象になっているとの報道で不安感が増したようだ。しかし、NY時間にかけて買戻しも膨らみ103円台に一旦戻している。米大統領選挙に関するNYタイムズとABCの世論調査でのクリントン氏の優位が伝えられたことで警戒感は一服していたようだ。

 しかし、ドルの上値は依然として重く、後半になると再び102円台に下落する動き。前日のFOMCを通過し、市場は米大統領選の動向に関心が集中しており、世論調査やFBIの動きなどに一喜一憂している状況。

 明日は米雇用統計の発表が控えているが、よほどのサプライズでも無い限り、一時的な反応に留まり、8日の米大統領選を固唾を呑んで待つという展開も考えられそうだ。

 なお、きょうは米ISM非製造業景気指数が発表になっていたが、予想を下回り前回値も下回った。詳細を見ると雇用も新規受注も低下してはいるが、前回が強い内容であったことから、その反動が出た可能性はある。サービス業の雇用のセンチメントの低下は、明日の米雇用統計を控えて若干気掛かりではあるが、12月の米利上げ期待を後退させるほどの弱さではない。市場は前日のFOMCを通過し、12月の利上げ期待は依然として根強くドルもネガティブな反応を見せなかった。

 ユーロドルは下に往って来いの展開。一時1.1060近辺まで下落したものの、再び1.11台に戻している。

 きょうの主役はポンドであっただろう。ポンドドルは一時1.24台後半まで戻した。二つの大きな材料がポンドの買い戻しを強めている。一つは英EU離脱に関して、ロンドンの高等法院が、EUへの離脱通告に際して議会による承認が必要との判決を下したことだ。政府側は即座に上訴する方針を示しており、今後、最高裁で争われることになる。

 メイ政権は判決に関係なく離脱手続きを履行する考えを表明しているが、もし、最高裁が高等法院の判決を支持すれば、議会は上下両院とも離脱に反対派が多いとも言われており、交渉日程などに重大な影響を及ぼし、英離脱が予定よりも遅れる可能性もある。

 そして、もう一つは英中銀の金融政策委員会(MPC)で、予想通り追加利下げを見送ったが、更にカーニー総裁はこれまでの利下げバイアスを一旦、中立に戻している。

 同時に発表になった英中銀の四半期インフレ報告では、ポンド安によるインフレ期待の高まりから、インフレ見通しを上方修正しており一方で、GDPをはじめとした足元の指標が良好な内容であることから成長見通しについても、16年、17年とも上方修正した。

 ただ、EU単一市場へのアクセスが制限されるハード・ブレクジットになる可能性も高く、その影響で英国から欧州大陸へ移転する企業が増えるものと思われ、それに対する英経済への悪影響は今後、顕在化してくると見る市場関係者も多く、ポンドの戻りは一時的との見方も依然として根強い。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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