きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となったが、特にドル売りを誘発する特段の材料はなかった。先週のFOMCでは年内の利上げの可能性について従来通り言及していたものの、まちまちな指標が見られる中、市場ではその言及に懐疑的な見方も出ている。今後、利上げが続いたとしても、そのペースは予想以上に緩やかとの見方に傾きつつあるようだ。
きょうも複数の米地区連銀総裁の発言が伝わっていたが、市場の反応は限定的。また、強い米住宅市場の発表もあったが、こちらも同様に反応は限定的だった。
ドル円は下値模索となり100円台前半に下落。NY時間に入って下げ渋り100円台は維持したもののリバウンドの気配もない。ドル安の動きもあるが、円高の動きもきょうはドル円を押し下げていた。黒田日銀総裁が講演でマイナス金利を拡大させる可能性を示唆したことや、各国の株式市場が銀行株安で下落するなどリスク回避のムードが見られ円高を誘発してた模様。日銀についても市場は消化不良で行方を見守る姿勢。
100円割れが警戒されるが、100円付近にはオプション絡みなどの買いオーダーも厚く入っている模様。ただ、ファンド勢などは100円割れを狙う構えと見られる。
一方、ユーロは買い優勢で、対ドルのみならず、対ポンドも上昇している。ドラギECB総裁の議会証言が伝わっており、必要なら行動するといった緩和姿勢を強調していたが、特にネガティブな反応は見せていない。円とともにユーロもドル安の受け皿となっている模様。
ユーロドルは一時1.1275近辺まで上昇。先週のFOMC以降の動きで、一旦、失いかけたリバウンドの流れは維持されている。目先は1.13台を回復できるか、そして、目先の目標として8月高値の1.1365水準に到達できるかが意識される。
ポンドは対ドルでは買戻しも入っていたものの、円とユーロに対しては軟調。来年初めにもリスボン条約50条のEU離脱を宣言するとの観測も流れる中、EU単一市場へのアクセスができなくなる可能性があるといった情報も流れている。
EUは離脱するが、これまでのように単一市場へのアクセスは維持されるソフト・ブレグジットをメイ政権は模索しているが、国民投票の最大のテーマでもあった移民の受け入れ拒否では、EUに対する理解は到底得られず、単一市場から完全に離脱するハード・ブレクジットの可能性が警戒されている。ポンドは更なる下値が警戒されている状況。
日本時間では27日午前になるが、クリントン氏とトランプ氏の大統領選のテレビ討論会が予定されている。下馬評では討論会はクリントン氏が有利との見方も多い。ただ、ブルームバーグによる最新の世論調査によると、候補者をトランプ氏とクリントン氏の二者に絞った場合、支持率はいずれも46%、両氏以外の候補者も含めた場合、支持率はトランプ氏が43%、クリントン氏は41%となっていた。
クリントン氏とトランプ氏の差が拮抗してきているが、トランプ氏はドル高は大きな問題になるとして、これを避けるために低金利政策に賛同している。ただ、イエレン議長の交代も強く主張。一方、クリントン氏はFRB理事や連銀総裁に投資銀行出身者を入れないことを主張している程度。どちらかといえば、トランプ氏のほうがドル円にとっては圧迫要因かもしれない。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
コメントを残す