【NY市場】株高でドル円は底堅さも、なお上値には慎重

 きょうのNY為替市場、ドル円は108円台半ばでの底堅い推移となった。一時108円台後半まで上昇していたが、ドル安の動きもあって伸び悩んでいる。きょうは米経済指標の発表などもなく全体的には様子見気分が強かった。引き続き株式市場の動向に注目が集まったが、ダウ平均が大幅続伸となっており、ドル円もショートカバーが優勢となっていた。

 リスク回避も一服だが、依然としてボラティリティの高い不安定な値動きが続いていることに変わりはない。今月の米雇用統計以来猛威を振るっている嵐が完全に過ぎ去ったとは言い切れず、ドル円はなお上値には慎重なようだ。

 先週末には108円ちょうど付近まで下落していたが、108円台は維持されている。108円をブレイクするようだと、昨年9月に付けた安値107.30円を試す動きも想定され下値への警戒感は根強い。

 トランプ大統領が2019会計年度の予算教書を公表。防衛予算の拡大とインフラ計画で2000億ドルの支出を提案している。メキシコ国境の壁建設費用として、向こう2年間に180億ドルも要求。しかし、議会はこれまでも予算教書の要求を無視してきており、独自の歳出法案を9日に通過させたばかり。最終的には全く違ったものになる可能性も指摘されている。

 一部からは財政赤字への懸念も出ているようだ。リセッションの前に財政がこれほど大規模な赤字の方向になるのは前例がないとの指摘も出ていた。一方で財政赤字が膨らんでも景気拡大がそれを相殺するとの指摘も出ており、見方は様々といったところだ。しかし、米国債の動きを見た限りでは、さほど懸念はまだ高まってはいない模様。

 ユーロドルは買い戻しが優勢となっており、1.23ドル手前まで上昇。序盤は売りが優勢となり、1.2235ドル付近まで下落したものの、その後は買い戻しも入っている。ただ、1.23ドル台には慎重で売り圧力も根強い。

 米インフレ警戒や利上げ期待の高まりで、ロングポジションの調整は続いている一方で、先週は1.22ドルちょうど付近まで下落したものの、1.22ドル台は維持している。下値ではかなりのショートカバーも出ていた模様。

 全体的には1.22ドル台での上下動が続いており方向感はない。次のアクション待ちといったところのようだ。先週発表になった米商品先物委員会(CFTC)の建玉レポートによると買い越しを減らしており、上げ一服感は根強い。

 ポンド円は150円前半で推移。きょうは一時149円台に下落していたものの、米株式市場でダウ平均が一時500ドル超大幅に続伸しており、円安の動きがサポートしている。

 しかし、ポンドは先週の英中銀政策委員会(MPC)が早期利上げの可能性を示唆したタカ派な声明にもかかわらず、ポンドは戻り売りが強まっている。ここに来て再びEU離脱交渉への不透明感が台頭しており、ポンドを圧迫しているようだ。「移行プロセス」の交渉が行われているが、EU側のバルニエ首席交渉官が交渉がリスクにさらされていると述べている。今回の「移行プロセス」は3月のEU首脳会談までに決着を付ける方針だが、期限までに合意しない可能性も出てきている。

 英EU離脱交渉に関してメイ英首相から数日のうちに説明があるとも言われており、目先はその内容が注目されそうだ。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug

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