きょうのNY為替市場、ドル売り・ユーロ買いが優勢となった。ドル円は再び111円台に下落し、一時111.50付近まで下落する場面も見られている。日銀が本日の決定会合でインフレ見通しを下方修正し、緩和継続姿勢を強調した。円安期待からドル円も一時112.40近辺まで上昇していたが、NY時間に入ると売りが強まっている。
本日のECB理事会やドラギ総裁の会見を通過して為替市場ではユーロ買いが強まり、ドルの上値が重くなっていた中、トランプ大統領のロシア疑惑に関する報道がドル売りを加速させている。ブルームバーグが関係筋の話として、昨年の米大統領選挙におけるトランプ氏陣営とロシアとのつながりを捜査しているモラー特別検察官が、捜査の対象をトランプ氏や関係者のビジネスに関わる様々な取引についてまで拡大していると伝えた。
トランプ大統領の経済政策の本丸である税制改革やインフラ整備法案の議論が本格化してくる。ただ、ヘルスケア法案も成立させることができない中、期待通りに経済政策が実施されるのか、市場には不安感も台頭し始めている。そのような中でのロシア疑惑に関する報道に市場も敏感に反応したようだ。
前日に引続きドル円は、200日線を割り込んだことで、ロング勢も一旦、見切らざるを得なかったのかもしれない。
しかし、米10年物TIPS入札結果が午後に公表され、応札倍率が08年7月以来の低水準となるなど、不調な入札となったことから、米国債利回りが下げ幅を縮小し、それに追随してドル円も112円付近まで下げ渋っている。再び200日線付近まで戻しており、明日以降、上値を回復できるか注目される。
一方、きょうのECB理事会とドラギ総裁の会見を通過してユーロは買いが強まっている。ただ、ECBは声明で「必要なら資産購入の規模や期間を拡大する用意」という文言をそのまま残した。その後のドラギ総裁の会見も慎重姿勢を強調し、全体的には予想以上にハト派な内容だったと見られる。
しかし、ユーロの買い意欲がECBに勝っているのか、ドラギ総裁の「債券購入プログラムについては秋に協議」との一言に敏感に反応している。ドルも買えない、円も買えない、そして、ポンドも積極的には買えない中、資金はユーロに集中しており、ユーロ買い材料だけに市場は耳を傾けている印象もある。
ユーロドルは一時1.1650近辺まで上昇し、昨年5月の高値を突破している。このままモメンタムを維持するようであれば、次のターゲットは2015年8月高値の1.17台前半が意識される。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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