きょうのNY為替市場でドル円は112円台前半での振幅が続いた。一部報道が関係筋の話として、ECBは前日のドラギ総裁の発言について、市場が判断を誤ったとみていると伝えたことで、ユーロ売りが急速に強まり、ユーロ円に連れ安する格好でドル円も一時112円台を割り込む場面も見られた。しかし、一時的な動きに留まり、直ぐに112円台に戻している。
一方で上値追いの勢いも乏しく、112円台前半で身動きが取れない状況が続いている。市場では欧米中銀の出口戦略への期待が高まっており、欧米の国債利回りも上昇傾向を強めている。そのような中、為替市場はユーロやポンドに資金が向かっており、結果としてドル安の動きが優勢となっている状況。
しかし、円も軟調。日銀だけは出口戦略にほど遠い状況で、10年債をゼロ近傍に固定する金利操作は当面続くと見られているようだ。きょうもポルトガルでECBフォーラムが開催されていたが、黒田日銀総裁もドラギ総裁やカーニー総裁らとのパネルディスカッションに参加しており、「企業は依然として支出に慎重」と述べていた。
為替市場はドル安と同時に円安の動きもあり、ドル円は膠着した相場展開が続いている模様。
一方、ユーロはNY時間に入って直ぐに急速に売りが強まり、ユーロドルは一時1.13台を割り込む場面も見られた。一部報道が関係者の話として、前日のドラギ総裁の発言についてECBは、「市場が判断を誤ったとみている」と伝えていた。また、コンスタンシオ副総裁も、ドラギ総裁の発言は現行政策に完全に整合するものだと述べている。
ただ、市場のユーロ買い意欲は根強く、まもなく、その報道による大幅な下げを完全に戻している。カーニー英中銀総裁が、利上げの可能性に含み持たせる発言をしたこともユーロを押し戻したようだ。
ドラギ総裁関連の報道で各国の国債利回りは急速に上げ幅を縮小していたが、カーニー総裁の発言で再び上昇軌道に戻している。ユーロ円も126円台半ばまで下落していたが、127円台後半に戻し、ポンド円は145円台まで上昇している。
資源国通貨も買いが続いており、特にカナダ円は86円台に上昇。ポロズ・カナダ中銀総裁が早期利上げの可能性に言及し、市場の一部では来月にも利上げが実施されるのではとの期待感も高まっている。原油の買戻しが続いていることもカナダドルをフォロー。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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