【NY市場】ドル売り優勢 ハービーの米経済への影響懸念

 きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となった。米株式市場でダウ平均が下げに転じたことがドルを圧迫。熱帯低気圧「ハービー」の影響を見極めたい雰囲気が高まっている。ハービーはハリケーンから熱帯低気圧に勢力こそ弱まったものの、直撃したテキサス州では大雨で大規模な洪水が発生しており、今後の米経済への影響が懸念される。

 先週のジャクソンホールでのイエレンFRB議長やドラギECB総裁の講演を通過して、ドルショートを再構築する動きも見られているが、今週は米雇用統計の発表も予定されており、慎重な動きも一方で見られている。

 先週のイエレンFRB議長の講演では金融政策への言及なかったことが逆にドル売りを誘発した格好だが、一方で年内あと1回の利上げの可能性を否定もしなかったとの捉え方も一部ではあるようだ。

 9月FOMCでのバランスシート縮小開始は打ち出してくることがほぼ確実と見られているが、利上げについては今後の経済指標次第ということのように思われる。インフレ指標がすぐに2%の目標に戻すとは考え難いが、雇用や生産、消費など他の指標がその可能性を示唆するようであれば、年内利上げの可能性は十分にあるものと考えられる。その意味では金曜日の米雇用統計は注目となりそうだ。

 ドル円はNY時間の序盤に109.40近辺まで買い戻されていたが、ダウ平均が下げに転じたことなどから伸び悩む動きとなった。現地時間の午後に入って米5年債入札結果が発表され米国債利回りが低下したことから、109円割れを試す動きも見られたが、109円ちょうど付近にはオプション絡みなど買いオーダーも観測されており109円台は堅持した。終盤には急速に買い戻されている。

 一方、ユーロドルは上値を抑えていた1.1950水準を突破し、1.19ドル台後半まで上昇。大きな心理的節目の1.20ドルを目指す動きとなった。

 先週のジャクソンホールでのドラギECB総裁の講演を受けてユーロは買いのモメンタムを再び強めた。総裁が金融政策に言及しなかったことが要因となっているようで、ユーロを買いたい向きが多い様子もうかがえる。

 なかには来週木曜日のECB理事会までに1.21台に上昇との予想も出ているようだ。ECBがインフレを鈍化させるとしてユーロ高を懸念しているとの見方が市場には広がっていたが、ここに来て、ある程度許容するのではとの楽観的な見方も出始めているようだ。

 来週のECB理事会で出口戦略の計画が打ち出されるかどうかは別にして、それまで様々な思惑が錯綜しそうな雰囲気も出ている。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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