きょうのNY為替市場はドル買いの動きが一服し、ドル円も伸び悩む展開となった。ただ、ドルを売る特段の理由はない。米国債利回りも最高水準で推移し、米株も大幅高となっている。ドル円は朝方に一時114円台まで上昇したが、前日の安値から200ポイント上昇している。さすがに上げも一服といったところのようだ。114円台では日本の輸出企業の売りオーダーも観測されていた。
トランプ大統領の議会演説も無難に通過し、市場の関心は3月FOMCの動向に移っている。前日のウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁やダドリーNY連銀総裁の発言から市場は、一気に3月利上げの可能性を織り込み始めている。
前日のトランプ大統領の議会演説では、1兆ドルのインフラ投資と、税制改革に関しては具体策はなかったが、大幅(BIg、BIg)な減税をチームが協議していると語っていた。大方、予想通りではあったが、経済成長を重視した内容ではあり失望には至っていない。経済政策への期待は温存された格好となっている。無難に通過といったところであろう。
そして、市場の注目は一気に今月のFOMCにシフトしたようだ。前日にウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁やダドリーNY連銀総裁から3月利上げに向けて強めのメッセージが出され、市場では3月FOMCでの利上げ確率が一気に上昇。
CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは、3月FOMCでの利上げ確率は30%程度で推移したいたのが、一気に66%まで上昇している。
その意味では、朝方発表になった1月のPCEデフレータが注目されたが、総合指数で前年比1.9%、食品・エネルギーを除くコア指数は前年比1.7%となっていた。予想は下回ったものの、3月利上げの可能性を追認する内容ではあったように思われる。
今週金曜日にイエレンFRB議長の講演が予定されているが、その内容が注目される展開となっている。
きょうはカナダドルの売りが目立った。ドルカナダは1.33台半ばまで上昇、カナダ円は85円台前半に伸び悩んでいる。カナダ中銀が金融政策委員会の結果を発表していた。政策金利は大方の予想通り据え置かれたが、声明が予想以上に慎重だったことがカナダドルの売りを誘発したようだ。
声明では「大きな不透明感がある。経済のスラックが続いている」と指摘していた。消費者物価はコア指数で低水準が続いているものの、原油価格も回復しており、直近のカナダ雇用統計も堅調。また、GDPも回復軌道に戻している状況から、タカ派とは行かないまでも慎重になる状況でもないと思われていた。やはり、NAFTAの再交渉などトランプ大統領のアメリカ・ファースト政策の影響が気掛かりな面もあるのかもしれない。
ユーロドルは買戻しが入り、一時1.0570付近まで戻している。きょうのユーロドルは下げが続いていたが、心理的節目の1.0500を前にショートカバーが入ったようだ。ユーロ円が上昇していることもサポート。
NY時間の朝方に2月のドイツ調和消費者物価指数(HICP)が発表になっていたが、前年比2.2%と2012年以来の水準に上昇している。やはりドイツのインフレ懸念は強い。
ECBは緩和継続姿勢を強調しているが、ドイツからは早期の出口戦略を求める声が強い。今回のHICPを受けて、その不満は更に強まることも予想される。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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