ウォール街のメガバンクJPモルガンは共同開発によって社内用イーサリアム・ネットワークを構築した。当プロジェクトは、先月のHyperledger技術協議会で発表され、先日のジュネーブのSibosコンベンションでも実演された。
Quorumと呼ばれるこのプラットフォームはEthLabというイーサリアムスタートアップ企業とのパートナーシップによって開発された。またこのプロジェクトは、ブロックチェーンの中核的研究拠点として知られる同社のグループが取り組んでいるプロジェクトの中で初めて公開されたものである。
該当部門のプログラムリードであるAmber Baldet氏は、JPMorganがもっとたくさんの開発者を巻き込むべくブロックチェーン技術のオープンソース化を見直していると説明した。
Quorumの共同開発において、JPMorganは開発者達がアプリケーションを制作するのを促進すべく、ソフトウェア開発キット(SDK)を作ったという。さらにこのプロジェクトはビジネスでの問題を解決するために提供しているソフトウェアツールキットの新しい選択肢でもある。
Quorumは同社の研究部門が発表した、第2の主要なブロックチェーン関係のプロジェクトである。同社は今年、Junoという別のプロジェクトを発表した。これは異なるネットワークパーティー間の迅速な送金を可能にすべく設計された『分散型電子台帳』とも呼ばれるプロジェクトである。Junoの開発者達は今年7月、同社から独立してQuartzという独自のスタートアップ企業を立ち上げた。
Quorumの中身
Quorumは、2015年第1回のイーサリアム開発者カンファレンス(Devcon1)での議論に続いて開発されたプロジェクトであるという。「EthLabのJeff Wilcke氏と話しながら、彼のゴールである、Proof-of-workに代わる承認ベースのコンセンサス機能を作ることと、我々のゴールである高速な公認の台帳を作ることが同時に実現できるという可能性に気づいた。」とBaldet氏。
また、Wilcke氏いわく、このシステムにはJPMorganとEthLabの両者に影響を及ぼす複数の要素があるという。Wilcke氏は以下のように説明した。 「JPMorganのチェーンはプライベート処理とパブリック処理を分けて行えるようにする特別なルールを必要とする。パブリック処理は誰からも閲覧することができるものであり、一方プライベート処理はアクセスキーを持った特定の人達にしか閲覧できないものとなる。」 Wilcke氏はこの取り組みがイーサリアムネットワークの未来に、パブリックチェーンとプライベートチェーンの共存といったような、何らかの大きな影響をもたらすかもしれないと予想する。
次のステップ
当プロジェクトはこれから、この2つの会社と業界内の利害関係者達からのフィードバックに従って見直しを行う段階に入る。Baldet氏いわく、JPMorganにはこのプロジェクトを商品化する予定はない。しかし、当プロジェクトが車輪となってオープンソースコミュニティーの開発者達との繋がりを強めていけたら良いと考えているという。「JPMorganの既存のアプリケーションでQuorumを使用してソフトウェアをリリースすることは、他の組織とのプロジェクトを始めるための重要な布石になるだろう。」とBaldet氏。
また、当プロジェクトはネットワークを通してプライベートな機器同士が接続できるようにするシステムを構築するための第1ステップだという。
「我々がいくつかの重要な『企業レベル』でのプラットフォームの周囲への収束を予想している間、相互運用性(interoperability)は次のバズワードとなるだろう。」とBaldet氏は話す。
JPモルガン、プライベートのイーサリアム・ブロックチェーンを開発はCoinPortalで公開された投稿です。
Source: Coin Portal
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