【NY市場】米利上げ期待とECBの緩和縮小観測でドルとユーロが上昇

 きょうのNY為替市場はドル買いが強まったと同時にユーロも急伸している。ともに中央銀行の金融政策への見方によるもの。ドル高については、きょうは主な米経済指標の発表はなかったが、前日のISM指数が米製造業の先行き不安を一服させる内容だったことを改めて評価したのかもしれない。

 また、前日からきょうにかけて、タカ派色の強い米地区連銀総裁の発言もフォローとなっている。特にメスター・クリーブランド連銀総裁の11月利上げの可能性にも言及した発言は市場のドルへのモメンタムを強くした模様。

 一方、ユーロについては、ECBが量的緩和縮小の必要性でコンセンサスの形成が近いと報じられていたことを材料視。ECBが現在行っている月間800億ユーロの資産購入プログラムは来年3月末までだが、その期限まで6ヵ月をきった中、その前に緩和縮小を開始しようとしていると伝えている。緩和縮小の開始時期は経済見通し次第としているが、1ヵ月で100億ユーロづつ縮小する可能性もあるという。

 ドル円は買い戻しが強まり、一時103円手前まで上昇。欧州債とともに米国債利回りも上げ幅を拡大させ、ドル円の追い風となった模様。100円割れを期待してかなり円ロングが積み上がっており、週末の米雇用統計やISM非製造業指数の発表を前に、ポジション調整が強まったのかもしれない。また、日本は下半期入りになることから、新規の実需買いが入った可能性もありそうだ。

 目先は9月14日の高値103.35付近が意識される。その上は100日線(本日103.75付近)が意識されそうだ。

 一方、ユーロドルは序盤にドル買いの動きから一時1.1135付近まで下落。これまで強いサポートとなっていた100日線を再びブレイクし、1.1160近辺の200日線も下回っていた。しかし、ECBの観測報道が伝わると、一気に買い戻しが入り1.12台に上昇している。ユーロ円も115円台に上昇。

 そのような中、ポンドの下げが続いており、ポンドドルは1.27台前半まで下落し、1985年以来、31年ぶりの安値水準まで下落している。前日の製造業に引続き、この日の建設業PMIも好結果であったが、市場は英EU離脱問題に焦点が集まっている模様。この動きにポンド円も130円台での上値の重い展開が続いている。 

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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