きょうのNY為替市場は、市場全体にリスク回避の雰囲気が強まり、為替市場は円買いが強まった。ドル円は111円台半ばに一時下落し、先週末の安値を下回る場面も見られている。
北朝鮮の李外相の発言がそのきっかけとなった。同外相は「トランプ大統領の発言は宣戦布告に相当する」と述べた。米国債利回りも低下し、株価も下げ幅を拡大する中、ドル円のみならず、ユーロ円、ポンド円といったクロス円も売りが強まっている。
北朝鮮が「宣戦布告」という文言をどこまで本気で言及しているのかは計り知れないが、同外相からは先週も、「太平洋上で過去最大級の水爆実験の可能性」との発言が出ていた。北朝鮮からの発言には市場も慣れてきた感もあったが、さすがに神経を尖らせているようだ。
ドル円は序盤の112円台前半から一時、111円台半ばまで急速に下落し、先週末の安値を下回った。ロンドン時間にも本邦勢の売りが観測されていたが、北朝鮮の李外相のコメントで、その動きが一気に強まったのかもしれない。目先の下値サポートとしては、FOMC直前にサポートとなっていた111.25水準、そして、その下には100日線が111.15付近に来ている。ユーロ円は一時131円台に下落し、ポンド円も150円を割り込む場面も見られた。
一方、ユーロドルも一時、1.18台前半まで下落。リスク回避の円買いによるユーロ円の下げが圧迫。また、週末に実施されたドイツ総選挙もユーロに影を落としているようだ。
メルケル首相の保守、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が246議席を獲得し勝利したものの過半数には届かず、連立を模索している。過半数割れはある程度、想定範囲内ではあったものの、驚きだったのが、難民受け入れに反対する新興右派「ドイツのための選択肢(AfD)」が94議席を獲得し第3党に躍進したこと。
フランスの大統領選でもマクロン大統領が勝利し、保守主義への流れが止まったかにも思われた。しかし、今回のドイツ選挙を見た限りにおいては、欧州の中に保守主義が、着実に広まりつつある様子もうかがえる。ユーロにとっては重しとなっているようだ。
きょうの下げでユーロドルはFOMC直後の安値を下回っており、10日線と21日線のデット・クロスも示現している。今後、調整が強まるか警戒される動きではある。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
コメントを残す