きょうのNY為替市場、この日も市場は調整ムードが続いており、ドル円は一時111円台まで急速に下落した。米株式市場が反落したほか、米10年債利回りも下げ幅を拡大したことで見切売りが強まった模様。
東京時間からドル円は売りが強まっていた。トランプ大統領のロシア疑惑が売りを誘発している。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が関係筋の話として、モラー特別検察官のチームがトランプ陣営に対し、一連のロシア関連キーワードを含む陣営幹部十数人の文書や電子メールを提出するよう求める召喚状を10月半ばに出していたと伝えていた。
前日は米下院が税制改革法案を可決し、これから法案は上院に送られ審議が行われる。ただ、上院共和党も下院とは異なる独自案を提出しており、年内に成立させることができるか情勢はなお不透明。
一方でインフレ鈍化への懸念が根強く、米国債のイールドカーブのフラット化が続いており、このところのドル円は上値の重い展開が続いている。その状況下でのトランプ大統領が抱えるロシア疑惑のニュースは売りの背中を押したようだ。
ドル円はテクニカル的にも下向きのサインが点灯している。来週は感謝祭ウィークで市場参加者も少なくなることが予想される中、100日線と200日線が控える111.70近辺や10月13日安値の111.50付近を試しに行くとのネガティブな見方も出ているようだ。
一方、ユーロドルは狭い範囲での振幅に終始した。きょうは買い気がなく、1.18台を何度か回復するものの上値が抑えられる展開が続いた。今週の急上昇から、1.18台に上昇すると利益確定売りも断続的に出たようだ。ただ、押し目買いも活発で下押しする気配は見られていない。
ロンドン時間にドラギECB総裁のコメントが伝わっていたが、「景気回復への信頼感が増している。インフレ回復に自信が持てれば賃金も上向く」などとポジティブなコメントも伝わっていた。ECBは慎重姿勢を崩していないが、ユーロに関してはポジティブな見方をしている向きが多く、今週の急上昇で更にその見方を強めている。ユーロドルは再度1.20を回復するとの予想も少なくない。
ポンドはロンドン時間に急速に下落していが、NY時間に入って買い戻しされており、ポンドドルは1.32台を回復している。ただ、ロンドン時間の急速な下げを見るとポンドが抱える不安定さを意識せざるを得ない。
ロンドン時間の下げについては直接の材料はなかったようだが、EU離脱交渉の不安感は常にそこにあるリスクと見られる。在留市民に関しては前進しているようだが、離脱に伴う負担金やアイルランドとの国境問題に進展が見られていない模様。
特に負担金に関してはお互い譲歩を迫っており、EU側は12月初旬までに譲歩案を明示するよう求めている。12月14、15日に開催されるEU首脳会談までに合意できなければ、次の貿易交渉に協議が進展しない。来週はハモンド財務相が予算案を議会に提出するが、何らかの動きが見られるか注目される。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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