きょうのNY為替市場でドル円は下に往って来いの展開となった。前日は一時110円を割り込むなど軟調な展開となったが、110円を割り込むとロング勢の押し目買い意欲が強まり、すぐに戻していた。日銀と各国中銀の出口戦略への温度差が円安期待を高めており、110円割れなら拾いたいロング勢も多いようだ。
NY時間の朝には111円手前まで買い戻されていたものの、111円台には届かずに伸び悩んだ。アップルが好決算を発表し株価も大幅に上昇したにもかかわらず、IT・ハイテク株への売りが強まりナスダックが下げに転じたことが雰囲気を圧迫したようだ。米インフレ鈍化とトランプ大統領の経済政策への不透明感が依然としてドルの上値を重くしており、ドル円も上値では戻り待ちの売りが多い。
一時110.30近辺まで下落していたが、終盤になるとIT・ハイテク株が下げ渋りナスダック指数も前日付近まで戻したことから110.75近辺まで戻す展開となった。
この日はADP雇用統計が発表され予想を下回っていたが、それ自体への反応は限定的だった。週末には米雇用統計の発表が予定されているが、雇用者数よりも賃金などインフレ関連のデータに関心が集中しているのかもしれない。
また、本日はクリーブランド連銀総裁やサンフランシスコ連銀総裁の発言が伝わっていたが、インフレ鈍化の一部は特殊要因で過剰反応すべきではないとの認識や、この秋のバランスシート縮小開始を支持するといった発言もドル円をサポートしたものと思われる。
一方、ユーロの上げが止まらず、ユーロドルは1.19台まで一時上昇した。過熱感も高まっており高値警戒感も強まっているものの、ドルも円も買えない中、ユーロへの資金流入が続いている。2015年1月以来の高値更新。米雇用統計を前にドルロングを調整する動きが出たとの指摘も聞かれる。
ユーロを買いたいというよりも、ドルが買えない状況がユーロドルを押し上げているものと見られる。米インフレ鈍化への懸念から年内の米利上げ期待が後退している中、トランプ大統領の税制改革やインフラ整備などの経済政策への実効性への疑問もドルに対して投資家を臆病にしている模様。
8月下旬にワイオミング州のジャクソンホールでFRBのシンポジウムが開催され、イエレンFRB議長と伴にドラギECB総裁も参加する予定。そこでの要人発言が注目されるが、少なくともそれまでは今の流れは変わらないとの見方も出ている。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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