きょうのNY為替市場は、この日発表になった米雇用統計が予想を下回る内容だったことでドル売りが強まり、ドル円は失望売りが強まった。雇用統計発表後に100ポイント超急落している。週央から米経済指標に強い内容も見られ出したことから、ドル円は反転の動きを見せ、前日のADP雇用統計が強い内容だったことから、きょうの米雇用統計に期待が高まっていた。その分、きょうの米雇用統計は失望感を強めたようだ。
ただ、非農業部門雇用者数(NFP)は13.8万人増と完全雇用の中ではしっかりとした増加を持続している。ちなみに、ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁は良い数字と述べていた。また、労働参加率が下がったこともあるが、失業率も4.3%まで低下してきている。気になる平均時給も前月比で0.2%上昇し、鈍いとはいえ賃金上昇は続いており、FRBが利上げを躊躇する状況ではない。実際、CMEのFEDウォッチでの6月利上げの確率は、雇用統計通過後も95%を超える水準のまま。9月の利上げ確率も若干だが、前日から上がっていた。
ただ、短期のロング勢はショックだったのであろう。見切売りが加速し、強いサポートとなっていた110.50水準を割り込んでいる。一時200日線が控える110.30近辺まで下落する場面も見られた。米株は最高値更新が続いているものの、相変わらず米国債利回りが下げ止まらないことが重しとなっているようだ。
一方、ユーロドルは1.1280近辺に上昇し、年初来高値を更新。昨年の米大統領選時につけた1.13ドルをうかがう展開が見られている。ユーロにとってはいよいよ、来週のECB理事会が注目となる。政策は据え置きが確実視されているが、注目はガイダンスを出口戦略に向けて変更してくる可能性が高いことだ。恐らく変更してくる可能性は濃厚だが、既にその辺は織り込み済みであり、どのように変更してくるかがポイントであろう。
必要であれば、利下げや追加緩和増額の可能性を示した文言は削除されるとの見方や、景気の「下振れ」リスクを「均衡」に変更してくるのではといった見方などが出ている。ただ、いずれにしろ、慎重姿勢であることは強調してくる可能性は高い。ただ、変更内容次第ではユーロは激しく動く可能性は留意したい。
ポンドは対ドルでは上昇したものの、対円やユーロに対しては売りが優勢で、ポンド自体は上値が重かった印象。市場は来週8日の英総選挙のリスクを警戒しているようだ。最新の世論調査ではメイ首相率いる与党保守党の支持率が42%、野党労働党の支持率が39%と、ここにきてその差が急速に縮まっている。波乱はないとの見方が市場ではなお優勢ではあるが、英国の選挙なので未知数の部分も多く、テールリスクは意識しているようだ。
ポンド円は一時142円ちょうど付近まで下落する場面も見られた。きょうの下げで10日線に跳ね返された格好となっている。目先はフォボナッチ50%戻しが141円台後半、100日線が141円台前半に来ており、目先の下値サポートとして意識される。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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