【NY市場】ドル円は買戻しも上値重い ラッカー総裁が突然の辞任

 きょうのNY為替市場は米株が底堅く推移したことや、米国債利回りも上昇しており、ドル円は買戻しが強まった。週内の米中首脳会談や、今月のフランス大統領選を控えて市場にはリスク回避の雰囲気も出ており、為替市場では円高の動きが見られている。ドル円も売りが強まり、NY時間の朝方には110.25付近まで下落する場面も見られた。

 ただ、110円の心理的節目を前に短期筋のショートカバーも見られている。トランプ大統領がインフラ整備法案は1兆ドルを超える規模になる可能性も示唆したこともフォローとなった模様。しかし、111円を試す動きまでは見られておらず上値も重い。先日のヘルスケア法案の一旦撤回以降、大型減税や金融規制緩和などトランプ大統領が公約している政策を実行に移せるのか、期待と同時に不安も高まっているようだ。

 目先は110円台を維持できるかが焦点だが、きのう、きょうの下げでモメンタムは下向きに再び戻っている。110円をブレイクするようであれば、108円台半ばにきている200日線の水準を視野に入れそうな気配ではある。

 一方、ユーロドルは1.06台半ばを中心にした上下動を続けている。ユーロは先週からの下げは一服しているが、リバウンドの流れに復帰する気配はいまのところ見られていない。この日発表になった2月のユーロ圏小売売上高は予想を上回る内容となったものの反応は限定的で、逆に上値の重さに短期筋の見切売りも出ていた。

 市場にはECBが年内に出口戦略に舵を切るとの期待感は根強いものの、ECB理事はその期待に対して火消しに回っており、買戻しも入れづらい状況のようだ。また、今月に仏大統領選の1回目の投票が控えていることもユーロ買いを慎重にさせているものと見られる。

 また、ラッカー・リッチモンド連銀総裁が突然の辞任を発表した。理由は2012年のFOMCに関して、中央銀行の動向に強いとされるシンクタンクのメドレーのアナリストとのやりとりが守秘義務に相反していたと説明した。ラッカー総裁はもともと10月1日付けで退任予定。比較的タカ派色が強い総裁だが、今年のFOMCでの投票権はなく、市場の反応も限定的だった。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です