【ロンドン市場】ドル売り再燃、トランプ政権のドル高けん制を警戒

 31日のロンドン市場では、取引中盤にかけてドル売り圧力が再燃している。きっかけは、英FT紙がトランプ米大統領のアドバイザーが、ドイツはひどく過小評価されたユーロを使っている、と発言したことを報じたこと。1.07ちょうど付近で揉み合っていたユーロドルは一気に1.0764レベルへと高値を伸ばした。ロンドン序盤にドル高方向へと調整が入ったその他主要通貨でも再びドル安方向への動きに押し戻されている。この日発表された欧州各国の物価統計やユーロ圏GDPなど比較的強い結果となったが、ユーロ相場はほとんど反応しなかった。市場の関心はトランプ政策に集まっていたようだ。

 ドル円は東京昼過ぎにつけた113.24レベルを安値に、その後は買いが先行する。ロンドン序盤には113.96レベルまで買われたが、114円の大台には乗せ切れず、113.80付近に値動きは一服。ユーロドルが急伸する動きにつれて、ロンドン中盤には再び113円台前半へと押し戻されている。この日の日銀決定会合では金融政策が予想通り据え置かれた。展望レポートでは、予想通り成長見通しが上方修正されたが、インフレ見通しは低水準のまま。黒田日銀総裁会見では、目新しい指摘はみられず。

 ポンド相場は序盤に売りが強まった。ポンドドルは1.25ちょうど付近から前日安値を下回ると一気に1.2413近辺に安値を広げた。ただ、その後はユーロドルの上昇とともに1.24台後半まで買い戻されている。ポンド円は序盤に142.50手前まで上昇も、反転して141円台前半へと下押しされている。足元ではメイ英首相が3月末を待たずにEU離脱の議会採決をする可能性が高まっている。英紙では3月9日の50条発動を望むとも報じられていた。今週は英中銀イベントを控えていることもあって、ポンド売り方向に調整される動きが続いている。

 豪ドル/ドルは下に往って来い。東京昼頃に0.75台後半まで買われたあとはロンドン序盤にかけて下落。一時0.7550割れとなった。しかし、ユーロドルの急伸をうけて再び0.75台後半に上昇。落ち着かない値動きとなっている。豪ドル円は85円台後半から86円ちょうど付近での上下動。前日の下落からの反発力は限定的。

 欧州株は反発している。ただ、トランプ政権の大統領令や側近発言で相場が撹乱される局面が多くなっており、積極的に買いを推し進めるほどのムードには回復していないようだ。戻りは限定的。
 
みんかぶ「KlugFX」 松木秀明
Source: klug

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