【NY市場】米雇用統計が予想下回りドル買い一服

 きょうのNY為替市場、この日発表になった米雇用統計が予想を下回ったことでドル売りが優勢となっている。米雇用統計は失業率が5.0%に悪化したほか、注目の非農業部門雇用者数(NFP)は15.6万人増と予想(17.2万人増)を下回った。

 ただ、予想は下回ったものの、雇用の先行き不安が強まるほどの弱さではなく、イエレンFRB議長も会見で述べていたが、完全雇用に接近する中で、15.6万人増というのはまずまずの数字とも思われ、12月の利上げ期待は温存される内容との見方は多い。

 きょうもFRB副議長や複数の米地区連銀総裁の発言が伝わっていたが、ネガティブな見方は少なく、ジョージ・カンザスシティ-連銀総裁は本日の米雇用統計について、モメンタムは継続されていることを示唆しているとの見解を示していた。

 ドル円は102円台に下落。きのうまでの8連騰で短期的には少し過熱感も出ていることから調整も入りそうだ。目先の下値メドとしては、9月27日から前日までの上昇波のフィボナッチ水準が102.60付近と102.10付近にきている。

 ユーロドルは買い戻しが優勢となり、一時1.12台まで上昇。今週のユーロの話題といえばやはり、ECBの量的緩和(QE)縮小観測が高まったことであろう。きょうはG20に参加していたドラギECB総裁とビスコ・イタリア中銀総裁の発言が伝わっていたが、ドラギ総裁は、必要であれば、更なる行動も辞さない構えを強調しており、ビスコ総裁はQE縮小について、「協議したことは一度もない。廊下でも室内でも一切ない」と完全否定していた。しかし、市場はこの言葉を素直に受け入れる向きは少ないようだ。

 ポンドは東京時間の早朝に突如急落し、ポンドドルは1.1840近辺まで瞬間的に急落したが、NY時間には1.24台まで戻している。オランド仏大統領が英国との離脱交渉に強硬姿勢で臨むよう呼び掛けたことが急落の要因との見解も出ていたが、下がり方からその見解を支持する向きは少なく、システムトラブルや誤発注が原因との見方も多い。

 原因はともかく意識したい点としては、NY時間の現在に至っても、その下げを取り戻せていないということだ。通常であれば、完全ではないかもしれないが、急落前の水準に1回は戻る。戻せていないということはそれだけ、市場のポンド安への意識は強いというあらわれなのかもしれない。

 英中銀によると、今回のポンド急落に関して、BISの委員会が次回の会合で再検証を行うと伝わっている。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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