きょうのNY為替市場はドル買いが加速。朝方発表になった10月の米耐久財受注が予想を上回ったことでドル買いに弾みが付いている。特にGDPに反映されるコア資本財の出荷が0.2%増と2ヵ月連続で増加しており、先週の小売売上高と合わせて第4四半期のGDPに期待が膨らむ内容となっている。FRBは設備投資が低迷していることに懸念を示しているが、きょうの結果は改善が期待できる内容ではあった。
なお、午後に11月のFOMC議事録が公表されている。「利上げ根拠は引き続き強まった。大半が比較的早期に利上げが妥当になる」としていた。12月の利上げ期待を十分に裏付ける内容ではあるが、市場の反応は限定的であった。市場は既に12月利上げをほぼ確実視しおり、トランプ氏が新米大統領に就任する来年以降の利上げ回数に焦点をシフトしているものと思われる。
ドル円は買いの勢いが止まらず、一時113円台手前まで一気に上昇。昨年6月の125円台後半から今年6月の98円台後半までの下降波のフィボナッチ50%戻しの水準が112.40付近にある。きょうはその水準を突破してきている。上記フィボナッチの61.8%戻しが115円台半ばにあるが、その水準を目指すか注目の展開に入っている。
ユーロドルは売りが強まり、一時1.05台前半まで下落。昨年12月の水準まで下落してきているが、1.05台前半から1.05ちょうどまでの間には買いオーダーも並んでいるようで、きょうのところは1.05台は維持されている。1.05ちょうどの水準は心理的節目で、昨年の3月以降強いサポートとして機能してきており意識される。
ユーロに関しては12月4日に控えているイタリアの憲法改正の是非を問う国民投票が警戒されている。もし否決されれば、レンツィ首相は辞任をする意向を示しており再びイタリアは政治的混乱に陥ることが予想される。ただ、ベルルスコーニ元首相のキャンペーンもあり、世論調査では否決が優勢の状況。
S&Pのエコノミストの分析が伝わっていたが、もし、否決された場合、ECBの資産購入プログラムが防御壁の役割を果たすだろうとしてる。多少の混乱をもたらし、銀行の不良債権対策が遅れる懸念が生じるが、2011年以前のような国債利回りスプレッドが急拡大する事態にはならないであろうと述べていた。総選挙まで暫定政権が引き続き運営する可能性があるという。
きょうはポンドが強い動きを示しており、ポンド円は一時140円の大台を回復している。140円台回復は7月以来。この日のポンドの材料はハモンド財務相の秋の予算方針演説であろう。財政支出について、巨額のインフラ投資や減税で景気を刺激すべきとの声も強かったが、道路改修やIT投資など優先順位をつけた支出に留めており、財政健全化の方針を堅持した。
ポンド円は140円台の大台を回復してきているが、6月の国民投票から10月までの下げの半値戻しが141.30付近にあり、その水準が視野に入った。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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