【NY市場】ドル円は111円割れ寸前まで下落 デットクロス示現も

 きょうのNY為替市場はドル売りが強まった。ドル円はNY時間に入って一本調子の下げを見せ、111円割れ寸前まで下落した。前日は200日線の水準が維持されていたが、112円台が重かったことでロング勢もモメンタムを失っているようだ。本日は米国債利回りも原油も米株も軟化したことからドル円も見切売りが強まった模様。

 日銀と主要国の中銀との出口戦略に対する温度差の違いから円安期待は根強いものの、足元の米インフレ鈍化からFRBの年内利上げに対する不透明感がドルを圧迫。また、ここに来てトランプ政権の経済政策への不安感も台頭しており、ヘルスケア法案を成立することができなかったことで、今後の本丸とも言える税制改革やインフラ整備の法案を成立させることができるのか市場も不安になってきている。

 今回の下げでドル円は10日線と21日線のデットクロスを示現しそうだ。下値では実需など押し目いも期待され、上向きトレンドまでは変化しないと思われるが、来週のFOMCの反応次第では一旦、110円付近までの下げも留意する必要がありそうだ。

 一方、ユーロは強い動きが続いており、ユーロドルは一時1.16台後半まで上げ幅を拡大している。NY時間にかけて利益確定売りも出て、1.1640ドル近辺まで伸び悩んでいたものの、下がったところでは買い意欲も旺盛で再び騰勢を強めている。

 前日のECB理事会を通過しおてもなお、ユーロは買いが続いている。ECBは声明で「必要なら資産購入の規模や期間を拡大する用意」という文言をそのまま残した。その後のドラギ総裁の会見も慎重姿勢を強調し、全体的には予想以上にハト派な内容だったと思われる。しかし、ユーロの買い意欲がECBに勝っているのか、ドラギ総裁の「債券購入プログラムについては秋に協議」との一言に敏感に反応。

 その後、トランプ大統領のロシア疑惑に関する捜査を拡大させているといった報道もあり、ユーロドルは一気に買い気を強めた。ドルも買えない、円も買えない、そして、ポンドも買えない中、資金はユーロに集中しており、ユーロ買い材料だけに市場は耳を傾けている印象もある。さすがに過熱感は否めないものの、調整の気配も今のところ見られない。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です