【NY市場】イエレン講演でドル買い戻し 円ショートの調整も

 きょうのNY為替市場は午後になってドル買いが優勢となった。イエレンFRB議長のボルチモアでの講演を受けドル買いが強まっている。金利の行方など金融政策への言及はなかったが、雇用の現状について述べており、「賃金の伸びが上向いている兆候。雇用創出は着実なペースで継続しており、米労働市場はこの十年近くで最も力強い」などと述べ、雇用の力強さ示した。一方で生産性の低さにも言及している。

 先日のFOMC後の会見でも雇用については自信を示す一方で、生産性の低さについても言及しており、中味はそれほど変わっていない。それほど驚きではなかったものの再度、雇用の力強さに自信を示したことに市場もドル買いで反応した模様。

 ドル円は序盤は売りが優勢で一時116円台半ばまで下落していたが、イエレン講演を受け117円台に戻す展開となった。ただ、きょうのドル円は、クロス円と伴に調整モードであったと言えよう。ドル売りというよりも円高の動きが圧迫。FOMCを通過し市場、年内の重要イベントは明日の日銀を残すのみとなる中、市場全体がクリスマスモードに入っている。そのような中、円ショートの調整が出ていたものと思われる。

 先週末に米先物取引委員会(CFTC)から発表されたIMM投機筋の12月13日時点での建玉報告によると、円の売り越しは差し引き6万3429枚まで拡大していた。昨年12月以来の積み上がりとなっており、調整が入ってもおかしくはない。きょうの10日線は115.70付近に来ていたが、浅い調整だとしても、まだまだ下げ余地はありそうだ。

 ユーロドルはロンドン時間から売りが優勢となっていたが、イエレン講演を受けて下げが加速し、1.03台に下落している。ロイター通信が関係筋の話として、ドイツ銀行が住宅ローン担保証券(MBS)の不正販売問題で週内にも米司法省と和解する可能性があると伝えていた。米司法省は最大140億ドルの制裁金を科すとも伝わっていたが、制裁金はそれを遥かに下回る見通しだという。特に為替市場の反応は限定的だった。

 その他、きょうはトルコリラの下落が目立っていた。トルコでロシア大使が銃撃され死亡した。犯人の男は「シリアを忘れるな」と述べていたが、地元の警察官との報道もあり、ロシア当局はテロと位置づけている。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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