去る9月28日、マウントゴックスの債権者集会が開かれた。2014年2月に破たんして以来すでに2年と8カ月が経過しており、債権者へのビットコイン返還が待ち望まれている。
今回はマウントゴックス事件の状況について仮想通貨取引所Krakenのマネージング・ディレクター(日本代表)を務める宮口礼子氏にお話を伺った。Krakenはビットコインの調査とビットコインで行われる債権者への配当プロセスの部分で協力しており、今回の債権者集会に合わせてKrakenを運営するPayward社のCEOであるジェシー・パウエル氏も来日していた。
現在の状況は
これまでマウントゴックスのユーザーから債権届け出が行われ、その認否が2016年5月25日に決定された。現在はそれに異議のある債権者からの査定申し立てが行われている。
マウントゴックス破たんの間際に多くのユーザーが口座に入っている資金を引き出そうとしたのだが、現金で資金を引き出そうとされた分に関してマウントゴックスのデータ上では出金対応したことになっているが実際にユーザーの銀行口座にはお金が届いていない、といったケースもあったようで、「現在まだこれらの確認が進められているが、もうすぐ終わる目処もたっている」と宮口氏は述べる。
それよりも配当への道のりの中で遅延要因となっているのが、CoinLabの訴訟だ。現在マウントゴックスはアメリカのCoinLabという取引所との訴訟問題を抱えており、これを解決しない限り債権者へのビットコイン返還は行うことができない。
CoinLabはアメリカ合衆国及びカナダでマウントゴックスのパートナーとして提携していたが、CoinLab側はマウントゴックスから受け取るべきデータが渡されず契約違反だと主張し2013年の6月に訴訟を起こしている。だが、その一方でCoinLab側もマウントゴックスのパートナーとして営業する以前に必要なアメリカでのライセンスを取得していなかった等の違反を行っている。
CoinLabの問題がボトルネックに
現在CoinLabから75億円以上が請求されているのだが、これを支払ってしまうと債権者への配当に充てるお金が大きく減ってしまう。
最新の報告書によると現在保管されている残高は日本円で約10億円(前回より約1千万円減少)と約20万BTCがある。ビットコインについては管財人が引き続きマウントゴックスの保有するBTCの有無を調査しており、発見され次第管財人の管理するアドレスに移動させられる。
宮口氏はCoinLabとの問題について「いつ終わるか想像もできない状況。本来なら年内に債権者への配当を始める予定だったが、今はそれができない可能性も出てきており、Coinlabに対してコミュニティの苛立ちが募っている」と話す。また、裁判になるとまたコストがかかってしまうため、そうでない方向での解決に向けて努めていると宮口氏は述べている。
最終的に日本円とBTCの残高を確定できないことには債権者への配当を行うこともできない。消えたビットコインを探し出すか、他から貸付金などを回収できれば配当に充てられる残高が増える可能性もあるが、その作業を行うにも費用がかかり、それによって配当に充てられる残高が少なくなってしまうかもしれないというジレンマもある。「時間のかかるプロセスに苛立つコミュニティの気持ちも十分理解ができるが管財人も非常に複雑な状況の中で解決に向けて進めている」と宮口氏は語っている。
消えたビットコインはどこへ?
消えたビットコインの調査は警察が監査法人トーマツやKrakenを運営するPaywardグループ、先日釈放されたマルク・カルプレス氏の協力を得ながら進めているものの、まだ事件の真相は明らかになっていない。
しかし、良くも悪くもビットコインの取引履歴はブロックチェーンで確認することが可能なため、ビットコインがどこに行ってしまったのかはChainalysis等のブロックチェーン追跡サービスでによって分析が進められているようだ。
報告書には「存在する情報が限られていること等の事情もあり、全容の把握は難しいと考えているものの、今後も、可能な限りで、調査を続行する予定である。なお、上記調査の結果については、プライバシーの問題等について配慮した上で、適切な時期、方法及び内容にて公表することを予定している。」と書かれている。
マウントゴックス、CoinLabの訴訟によって滞る債権者への配当はCoinPortalで公開された投稿です。
Source: Coin Portal
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