【NY市場】トランプ大統領の入国規制などで懸念高まる リスク回避の円買い

 きょうのNY為替市場は円高の動きが優勢となった。トランプ米大統領が、イスラム圏の7ヵ国からの入国を規制するなどテロ対策として難民・移民の受け入れ停止や凍結などを命じる大統領令に署名したことを受け、保護主義の世界経済に与える影響に懸念が高まった。米株式市場でダウ平均が2万ドルを割り込むなどリスク回避の雰囲気が強まる中、円相場は円高の動きが強まった。

 ドル円は113円台に下落し、一時113.45付近まで下落。ドル円はきょうの下げで21日線に押し戻された格好となっており、上昇トレンドの回復とは行かないようだ。目先の下値サポートは113.00や112.50付近が意識される。明日は月末ということもあり、下値では実需の動きも気になるところではある。

 ユーロドルは下に往って来いの展開。NY時間の朝方は一時1.06台前半まで下落する場面が見られた。リスク回避の雰囲気が強まる中、ユーロ円の下落が圧迫した面もあったようだ。ユーロ円は121円台半ばまで急落している。また、ECB理事のノボトニー・オーストリア中銀総裁が次回3月の会合で量的緩和(QE)拡大ペースの縮小を協議することは決してないと述べたこともユーロ売りを誘っていた。

 ただ、この日発表になった1月のドイツ調和消費者物価指数(HICP)速報値は前年比で1.9%と予想(2.0%)は下回ったものの、インフレの兆候を示している。ドイツは早期の利上げをECBに要請しているが、そのプレッシャーが更に高まりそうな内容ではある。ECB幹部からは緩和継続を強調した発言が続いているが、年内にECBは出口戦略に着手するとの市場の期待は十分に可能性がありそうだ。

 ポンドが軟調。特にポンド円は141円台まで急落している。東京時間の144円台から一気に引きずり下ろされた格好。先週までの上昇で10日線と21日線のゴールデン・クロスが示現している。しかし、きょうの急落で21日線付近まで一気に下落しており、本格的に上向きのトレンドを示すか懐疑的になってきた。

 ポンド自体も軟調。対ドル、ユーロでも本日の安値圏での推移となっている。今週からEU離脱に向けたリスボン条約50条の通告に関して議会の審議が始まり、それに向けて警戒感も出ているようだ。

 また、今週は英中銀政策委員会(MPC)が木曜日に予定されている。政策は据え置きが濃厚だが、今月は四半期インフレ報告が発表になり注目されそうだ。英中銀はポンド安の影響で今年のインフレは急上昇すると見込んでいる。一方でインフレ上昇により消費が圧迫されることから、成長は下振れると見込んでいる。しかし、先週発表の10-12月期のGDP速報値は予想以上に強く足元のファンタルズは良好であることが示されている。もしかすると、成長見通しを若干上方修正してくる可能性も一部では見られているようだ。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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