きょうのNY為替市場はドル売りが優勢となった。朝方発表になった米GDP改定値が予想以上の上方修正だったことでドル買いが強まる場面もあったものの、その後、イランのザンギャネ石油相が「イランは減産しない」と述べたことが伝わると、明日のOPEC総会への不透明感が強まり、原油急落とともにドルも上値が重くなった。
ドル円はGDP発表後に113.35付近まで上昇したが、戻り売り圧力も強く、後半になると112円台前半まで下げを加速した。きっかけは米国債利回りが急速に上げ幅を縮小したことがあげられる。
利回りの急速な下げについては特に材料は出ていないものの、明日の月末に備えた動きとの指摘も聞かれた。月末は特に米国債の買い(利回り低下)が活発になることも多く、明日はOPEC総会や米個人支出の発表なども予定され、めまぐるしく動く可能性もある。きょうのうちにポジションを整理しておこうという動きが出た可能性もあるという。
ドル円はポイントになっていた112.50水準を下抜けており、短期的には、再び111円台前半を試しそうな気配も出ている。
一方、ユーロドルは買戻しが優勢となり1.06台半ばまで上昇。ただ、上値が重い印象に変化は無い。日曜日のイタリア国民投票の結果待ちといったところで、積極的に買い戻しを入れづらい面もあるのかもしれない。
レンツィ首相は否決されれば退陣する意向を示しているが、そのことにより政治的混迷が強まることも予想されるなか、一部では大敗しない限りは続投する可能性も指摘されている。ただ、常識的にはかなり難しいとも思われる。
市場では、イタリアに英米のようなポピュリズムが強まり、ユーロ離脱を主張している右派政党の台頭が警戒されている。その表れか、調査会社センティックスが投資家を対象に調査している向こう12ヵ月以内に少なくとも1ヵ国がユーロ圏を離脱すると予想した投資家の割合を示すユーロ圏崩壊指数(EBI)が24%と前回の17.5%から急上昇している。6月の英国民投票時にもこの指数は27%まで上昇していたが、今回はそれ以来の高水準となっている。
また、きょうはドイツの消費者物価(HICP)速報値が発表になっていたが、以前ほどの弱さではないものの、インフレの兆候を明確に示すほどの強さはまだ出ていない。スペインのHICP速報値も同様の印象だった。
明日はユーロ圏の消費者物価速報値が発表になるが、12月のECB理事会での資産購入プログラムの期限延長が見込まれる中、その期待を裏付ける可能性も高そうだ。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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