【NY市場】IT・ハイテク株が一斉に売られドル円は伸び悩み

 きょうのNY為替市場は後半になってドルは伸び悩んだ。ドル円は一時110.80近辺まで上昇していたが、110円台前半に値を落としている。きょうの200日線は110.50付近にきていたが、結局、回復できずにいる。米株式市場でIT・ハイテク株が一斉に利益確定売り押されたことから、ナスダックが急落し、連れて米国債利回りも上げ幅を縮小したことから、ドル円も追随した格好。

 しかし、米株式市場ではダウ平均は堅調な動きとなり、ナスダックとダウ平均は対照的な動きをしている。銀行株や産業株が買われる一方で、IT・ハイテク株が一斉に利益確定売りに押されている状況が見られる。

 これはトランプ相場の初期にも見られた光景で、もしかすると前日のコミー前FBI長官の議会証言を無難に通過して、トランプ相場の復活を期待した動きなのかもしれない。いずれにしろ、今後、トランプ政権が、スキャンダルから大型減税や規制緩和といった市場の期待が高い経済政策に軸足を移せるか注目される。

 一方、ユーロは買戻しが優勢となっており、ユーロドルは1.12ドルちょうど付近まで戻している。前日の重要イベントを通過して、きょうの為替市場はドルの見直し買いも出ており、ユーロ・ドルは1.1165ドル近辺まで下落していた。

 強いサポートとなっていた1.12ドルちょうどの水準を一旦割り込んでいたものの、きょうはその付近まで戻している。英総選挙を受けてポンドが急落しており、対ポンドでの上昇がユーロをサポートしている面もありそうだ。ただ、1.12ドルちょうど付近で買戻しは踏み留まっており、いまのところ1.12ドル台は重そうだ。

 前日のECB理事会では、利下げの可能性示唆するガイダンスを削除した一方で、量的緩和については12月まで継続し、必要に応じて延長するとの文言を残している。ドラギ総裁も会見で「景気のリスクは概ね均衡」と、これまでの「下振れリスクは残る」から変更させていた。また、ECBスタッフ見通しでは、2019年までのインフレ見通しを下方修正した。出口戦略に一歩踏み込んだ印象ではあるが、慎重姿勢は残す内容となっていた。

 予想通りだったとは言え、ユーロは戻り売りが膨らんだものの、下げを加速させる動きまでは見られていない。ポンドに対する信頼感が薄れる中、ユーロには根強い期待もあるのかもしれない。

 ポンドドルは下げが一服しているものの、1.27台前半と本日の安値圏での推移が続いている。前日の英総選挙の結果を受けて、ポンドドルはメイ首相が選挙を宣言した時の1.25台を視野に入れるとの指摘も聞かれる。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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