【NY市場】クリントン氏への期待でドル買い戻し強まる

 きょうのNY為替市場はドルの買い戻しが強まり、ドル円は104円台半ばの水準を一気に回復している。クリントン氏のメール問題で再捜査していたFBIが同氏の訴追を求めないことを表明したことや、明日の米大統領選を前にクリントン氏優勢の世論調査も多く、市場はリスク選好のドル買いが強まった。

 最新のABCテレビの世論調査ではクリントン氏の支持率が47%、トランプ氏が41%となっている。クリントン氏への期待は高いものの、僅差であることには違いはなく、開けて見なければわからない情勢ではある。また、クリントン氏が当選してもドル高や株高が続くかどうかも未知数。ただ、市場としては、トランプ氏の外交に対するスタンスや貿易、そして、移民政策などを敬遠しており、クリントン氏を待望しているようだ。

 ドル円は買い戻しが強まり一時104.60付近まで上昇。104.60付近から上には売りオーダーも控えていたようで、上げは一服していたものの、明日の米大統領選を控えて堅調な値動きは続いている。

 市場の期待通りにクリントン氏が新大統領に決まった場合、ドルは更に上げ余地があり、なかには短期的に108円までの上昇との
声も出ている。しかし、105円台までとの声も少なくはない状況ではある。

 108円までの上値メドを検証してみると、目先は10月28日の高値105.50付近があるであろう。その上は200日線が106.75付近に控えている。そして、その上は7月高値の107.50付近が意識されそうだ。

 ユーロドルは戻り売りが強まった。先週までのリバウンドで10日線と21日線のゴールデンクロスを示現している。しかし、きょうの動きで100日線に跳ね返された格好となっており、再び下向きのトレンドに戻しそうな気配も出ている。

 反転相場の第1関門としてフィボナッチ38.2%戻しの水準が挙げられるが、それが1.1030近辺にきており、きょうはその水準に顔合わせした。きょうはブレイクはしなかったが、明日以降、注目されるところではある。

 ポンドドルも戻り売りに押されている。先週の買い戻しで、一旦リバウンドの兆候も見せていたが、きょうの動きからすると、その兆候は一旦無くなった気配も出ている。もし、明日の米大統領選でクリントン氏が勝利するようであれば、再び英EU離脱懸念からのポンド売りが強まりそうな気配もありそうだ。

 その英EU離脱交渉だが、英裁判所は政府のリスボン条約50条発動について、事前の議会承認が必要との判断を下した。英政府も上告しており、審理の場は最高裁判所に移っているが、EU離脱交渉のデービス担当相は英下院で、EU離脱通告は政府に権限があり、従来からの計画通りに3月末までにはEU離脱を通告する予定だと述べていた。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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