【NY市場】様子見が強まりドル円は114円ちょうど付近で振幅

 きょうのNY為替市場は様子見が強まり、ドル円は114円ちょうど付近での振幅に終始している。前日は115円台を再びトライしたものの、米国債利回りと伴に達成できずに113円台前半まで失速していた。

 ただ、ドル高への期待は根強く下値での押し目買い意欲は依然として強い。トランプ氏の経済対策への期待のほかに、FRBが来週のFOMCで強気な見通しを示してくるのではとの期待もあるようだ。利上げが確実視されており、そのこと自体は既にドルへの影響は限定的となっているであろう。

 トランプ氏の経済対策について現段階では、具体的な中味は伝わっておらず、それ自体からはFRBが強気になるには材料不足。ただ、足元の経済指標が好調であることから、見通しは9月時点から上方修正してくる可能性もありそうだ。

 ドル円は次第に上値に慎重になっている気配もうかがえるものの、底堅さは堅持している状況だ。

 なお、きょうは10月の米耐久財受注確報値が発表された。予想は上回ったものの、前回値からは下方修正されている。また、GDPの算出に参照される資本財のコア出荷も速報値の0.2%増から0.1%の減少に修正された。予想は上回ったもののドル買いの反応には繋がっていない。決して弱い数字ではなく、第4四半期への期待感は温存される内容ではあるが、速報値の強さからはややトーンダウンしており、ドル買いを誘発する材料とはならなかったようだ。

 ユーロドルはNY時間に入って売りが優勢になり一時1.06台に下落したものの、結局、1.07ドル台は堅持した。前日回復した21日線は維持されている。

 イタリアの国民投票が否決されレンツィ首相も辞任したが、市場の混乱は無かった。事前に予測でき織り込んでいたこともあったのかもしれない。しかし、イタリアのリスクが無くなったわけではない。来年の前半には総選挙が行われるとの見方も出ており、近年勢力を伸ばしつつある「五つ星運動」など極右政党が勢力を伸ばすようであれば、イタリアのEU離脱のリスクも高まる。

 また、目先はイタリア銀の不良債権処理の問題がクローズアップされており、大手銀の増資計画の実現が危ぶまれている。まだまだ潜在的なリスクは多い。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美

Source: klug

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