きょうのNY為替市場、トランプ大統領の発言をきっかけに後半になってドルが急速に下落し、ドル円は終了間際に109円を割り込んだ。米中首脳の電話会談や米ロ外相会談の共同声明などが伝わりドルは買戻しも見られていたが、地政学的リスクへの警戒から上値の重い展開が続いていた。金正恩朝鮮労働党委員長が核・ミサイル実験を行う暴挙に出ないとの確証も持てないということなのかもしれない。
そのような中、終盤になってWSJ紙がトランプ大統領の発言を伝えており、ドルは強すぎると述べていたことに敏感に反応。一方で中国を為替操作国に認定しないとも語った。また、イエレンFRB議長については敬愛しているとしながらも、議長再任に指名するかは決めていないとも述べた。更に中銀の低金利政策は好ましいとも言及している。
ドル円は109円台後半まで戻していたが、109円を割り込んでいる。米ファンダメンタルズは堅調なものの、心理的節目の110円をブレイクしたことで、ロング勢も上値へのモメンタムを一旦失っている。200日線が控える108円台半ばが視野に入る。
ユーロドルは1.0670近辺まで上昇。週末にイースター休暇も控えている中、1.06台に入ると戻り売りのオーダーも活発に出ていたが、トランプ発言で買戻しの流れが加速している。
市場には年内にはECBは出口戦略に踏み切るとの期待が根強いが、それと伴にユーロドルの上値を見ている向きは少ない。一部には量的緩和拡大終了の前に預金金利の引き上げとの見方も出ているが、多くはまだ、ECBが出口戦略に舵を切ったとしても量的緩和拡大の終了が先で、利上げはその後との見方が根強い。
その間にもFRBの利上げは継続され、短期ゾーンの欧米間の金利差拡大がユーロドルの下押し圧力に繋がると見ているようだ。年内、もしくは年初までにユーロドルはパリティ(1.00)に到達するとの予想は依然として多い。
なお、きょうはカナダ中銀が政策委員会を開催しており、政策金利は据え置かれたものの、今月は金融政策報告も発表されており、その中で需給ギャップ解消の時期を2018年上半期と、1月時点よりもやや早くなったと言及している。また、2017年のGDPについても上方修正された。
これまでの中立バイアスから、ややタカ派よりになった雰囲気もあり、カナダドル買いに繋がった。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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