【NY市場】米国債利回り上昇もドル円は反転の兆し無し

 きょうのNY為替市場は前日のFOMC以降のドル売りの流れが続いている。FOMCでは大方の予想通りに利上げが実施されたが、FOMCメンバーの金利見通しは年内あと2回と12月から見方を変えておらず、タカ派な雰囲気が抑制されている。イエレン議長の会見も、景気見通しには楽観的だったものの慎重姿勢は強かった。

 FOMC後、ドル円は一気に失望売りが強まったが、ロンドン時間に引続きNY時間でも112円台に下落する場面が見られた。このところドル円の誘導灯となっている米国債利回りは上昇していたものの、ドル円は追随する動きがなかった。115円台に何度か嫌われる中、前日の急落でロング勢もモメンタムを一旦無くしたのかもしれない。

 ただ、終盤になって一時113.40近辺まで戻す場面が見られた。この日行われた米独財務相会談後の会見でのムニューシン米財務長官の発言がきかっけとなっている。長官は「税制改革は成長のための最優先事項」と述べたほか、ドルについては「ドル高は長期的には良いことだが、短期的には問題もある」と従来の発言を繰り返す一方で、「外貨準備としてのドルに注目している」とも言及していた。

 113円ちょうど近辺で膠着していたドル円も、長官の発言に敏感な反応を見せた格好。ただ、買戻しの動きは限定的で113円台前半の水準は抜けなかった。

 ユーロが終盤に急上昇している。ECB理事のノボトニー・オーストリア中銀総裁の独紙でのインタビューが伝わっており、「金融政策は利上げの途中にある。主要政策金利を引き上げる前に、マイナス金利の預金金利を引き上げる可能性がある」と述べていたことに敏感に反応したようだ。

 ユーロドルは1.0700付近まで値を落としていたが、1.07台が底堅かったこともあり、一気に1.0770近辺まで反転した。

みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug

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