きょうのNY為替市場、この日発表になった米雇用統計が強い内容となったことでドル買いが強まった。米雇用統計は満点に近かったと言えよう。完全雇用に接近する中、非農業部門雇用者数(NFP)は20万人増と予想を上回ったほか、注目の平均時給は前年比2.9%増と2009年6月以来の高い伸びを示した。前回分も2.7%に上方修正されている。
今回の米雇用統計を受けカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は、「今回の賃金データは、賃金がようやく上向き始めていることを示す初期兆候の一つ。続くようであれば利上げに影響」と述べていた。現在、市場は年内3回の利上げを市場は見込んでいるが、持続できれば年内4回の期待も高まりそうだ。
ただ、米株式市場でダウ平均が700ドル近く急落するなど調整色を強めており、米雇用統計で上昇した米国債利回りも上げ幅を縮小していたことから、次第にドルは戻り売りが優勢となった。強い雇用統計ではあるものの、株主サイドからすれば、FRBの利上げのほか賃金上昇への懸念もある。
ドル円は110円台を回復。ストップを巻き込んで一時110.50円手前まで上昇。ただ、その後は110円台前半に伸び悩んでいる。21日線が110円台半ばに来ており意識されるが、まずは110円台を固められるか来週以降注目される。
一方、ユーロドルは米雇用統計後から売りが強まり、一時1.24ドル台前半まで下落した。ただ、下値では実需買いも旺盛で1.24ドル台が維持される中、次第に買戻しが強まり米雇用統計後の下げの大半を戻している格好。ユーロの底堅さも垣間見られる展開を見せている。
一方、ポンド円は156円付近での振幅が続いていたが、終盤に強まり155円台半ばに下落。来週は英中銀の金融政策委員会と四半期インフレ報告の発表が予定されている。いわゆるスーパーサーズデー。政策変更はないことが確実視されているが、声明やインフレ報告で年内の利上げの可能性を市場は模索するものと思われる。
ポンド高からインフレ見通しについては下方修正する可能性はあるものの、直近のGDPが堅調な内容だったことから成長見通しは上方修正してくる可能性もありそうだ。年内に利上げの可能性があるとのシグナルを出してくるようであれば、ポンド買いの反応も期待できそうだ。
minkabu PRESS編集部 野沢卓美
Source: klug
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