きょうのNY為替市場、全体的にドル買いに一服感が出ていたものの底堅さも見られている。ロンドン時間には利益確定売りも見られていたが、NY時間に入って買い戻しが優勢となった。米株が上昇したことや、午後の米2年債入札結果を受け、米2年債利回りが上昇に転じたことがドルをサポートしていた模様。
朝方、フィッシャーFRB副議長の発言が伝わっていたが、雇用が力強く経済は好調との見方を示していた。また、財政政策について、インフラや教育を整備し民間投資を呼び込むことで生産性向上させることが重要だと述べ、財政政策に前向きな発言もしている。
ただ、今週は感謝祭ウィークで、週後半にかけて市場参加者は少なくなって行くことが予想される。上値では利益確定売りも出ているようだ。
トランプ氏が大統領選に勝利して以降、選挙中に公言してきた経済政策への期待からドルは買いが強まっている。大型減税やインフラ整備がインフレを誘発させるとの見方につながっており、市場は12月利上げ期待を確実視しているほか、来年についても、2回の利上げを織り込もうとする勢いだ。
しかし、この動きへのリスクも指摘されている、このままドル高が進めば、第4四半期以降の米企業業績に悪影響が出る可能性があり、企業の設備投資が低迷している中で、FRBもドル高をけん制してくる可能性がある。
また、トランプ氏はまだ大統領に就任しておらず、経済政策について具体的なものは何も見えてない。大統領就任の年は毎年1月の一般教書演説はないが、2月に上下両院合同会議での施政方針演説が行われ、それに向けて具体的な内容が伝わってくるであろう。
いずれにしろ、そろそろ慎重さも必要な局面に入ってきているのかもしれない。
ドル円は111円台前半まで一時戻していたが、NY時間の終了にかけて売りが急速に強まっている。福島沖で地震が発生し東北から、関東、上越にかけ東日本の広範囲で揺れが発生した。津波警報発生が出ている。最大震度は福島県中通りで震度5弱。ドル円は111円ちょうど付近から110円台半ばに急速に下落した。
一方、ユーロドルは1.0640近辺まで買い戻されていたが、NY時間に入って1.05台に伸び悩む場面も見られた。
きょうはポンドが堅調な動きを見せている。対ドルでは一時1.25台まで上昇したほか、対円では138.65近辺まで上昇し、本日の安値から250ポイント急伸している。ファンダメンタルズ的な好材料は特に聞こえてきていないが、メイ英首相の講演を指摘する向きもいる。
メイ英首相はきょうの講演で、法人税率についてG20で最低水準にするとの目標のもと一段と引き下げる考えを示唆した。トランプ次期米大統領は選挙公約で法人税率を15%まで引き下げる方針を示しているが、英法人税率は2020年までに17%へ下げることを決定している。トランプ氏が公約通りに実行すれば、メイ首相も更に引き下げる可能性もあるのではとの期待も出ているようだ。
しかし、同時に急務となっている財政再建は大きく後退することが予想され、その辺をどう見るかは未知数だ。なお、今週23日にハモンド英財務相が秋の編成方針を発表する予定。
ポンド円は心理的節目の140円と7月高値の143円台前半が目先の上値メドとして意識される。
みんかぶ「KlugFX」 野沢卓美
Source: klug
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